Huberman式サプリサイクリング戦略、ローテーションに効果サイズ的な根拠はあるか

Huberman式サプリサイクリング戦略、ローテーションに効果サイズ的な根拠はあるか

Andrew Hubermanのポッドキャストを聞いていると、「サプリサイクリング」という言葉がよく出てくる。

  • カフェインは週2日休む
  • Alpha-GPCは毎日ではなく必要な時だけ
  • アダプトゲンは連続摂取を避ける

一見、理にかなっているように聞こえる。だが、この戦略に効果サイズ的な根拠はあるのか?

PubMedで検証してみた。

結論から言う

サプリサイクリング根拠
カフェイン推奨★★★★☆(RCTあり)
クレアチン不要★★★★★(耐性なし)
アシュワガンダ不明★☆☆☆☆(RCTなし)
Alpha-GPC不明★☆☆☆☆(RCTなし)

カフェインだけは、サイクリングの根拠がある。他はエビデンス不足。

詳しく見ていく。

カフェイン:サイクリングに根拠あり

カフェインの耐性については、複数のRCTがある。

約15日で耐性が発現する

Ruiz-Moreno et al. 2020の研究。11名を対象に、20日間カフェイン(3mg/kg/日)を摂取させた。

結果:

  • Day 1, 4, 6: カフェインで換気閾値が有意に向上
  • Day 15以降: 効果サイズが徐々に減少
  • 酸素摂取量: Day 4以降は有意差なし

つまり、毎日飲んでいると約2週間で効かなくなってくる

「カフェインの効果」は離脱からの回復かもしれない

もっと衝撃的な研究がある。

Griest et al. 2023は、習慣的カフェイン摂取者(平均394mg/日)を対象にした。

条件:

  • 離脱あり(朝カフェイン抜き)vs 離脱なし(朝カフェイン摂取)
  • 運動前にカフェイン6mg/kg vs プラセボ

結果:

  • 離脱あり+カフェイン: パフォーマンス向上(p = 0.04)
  • 離脱なし+カフェイン: 有意差なし(p = 0.33)

習慣的にカフェインを摂っている人は、カフェインを飲んでも「普通に戻る」だけ。

ベースラインを超えたパフォーマンス向上は得られない。

「離脱逆転仮説」

Rogers et al. 2005, 2013はこれを**「離脱逆転仮説(Withdrawal Reversal Hypothesis)」**と呼んでいる。

“caffeine benefits motor performance…tolerance to its effects on sleepiness means that frequent consumption fails to enhance mental alertness”

つまり:

  • カフェインの「効果」と思っているものの多くは、離脱症状を元に戻しているだけ
  • 本当の意味でパフォーマンスを向上させているわけではない

俺の結論

カフェインをサイクリングする意味はある。

週5日飲んで週2日休む、あるいは月3週間飲んで1週間休む。こうすることで:

  1. 耐性の蓄積を防ぐ
  2. 「本当に効かせたい時」に効果を最大化できる

重要な試合や大事なプレゼンの前にカフェインを「効かせたい」なら、普段は控えめにしておくべきだ。

クレアチン:サイクリングは不要

クレアチンのサイクリングを推奨する人もいるが、科学的根拠はない

耐性は発現しない

van Loon et al. 2003の研究。20名を対象に:

  • 5日間ローディング(20g/日)
  • その後6週間維持(2g/日)

結果:

  • スプリントパフォーマンス: 短期・長期ともに改善が持続
  • 耐性の発現: なし

クレアチンはアデノシン受容体に作用するカフェインとは違う。筋肉内のクレアチンリン酸を増やすだけなので、受容体のダウンレギュレーションは起きない

むしろ中断するとデメリット

クレアチンを中断すると、筋肉内のクレアチン濃度が徐々に低下する。これはパフォーマンス低下を意味する。

クレアチンは毎日3-5g、休みなく摂るのが正解。

アダプトゲン(アシュワガンダ等):エビデンス不足

Hubermanはアシュワガンダのサイクリングも推奨している。だが、耐性に関するRCTは見つからなかった

現状

  • 8-12週のRCTは存在(コルチゾール低下効果など)
  • しかし、長期連続使用による耐性発現を検証した研究はない
  • サイクリングの推奨は理論的な推測に基づいている

アシュワガンダがGABA受容体やHPA軸に作用するなら、理論上は耐性が発現する可能性がある。だが、それを検証したRCTはない。

俺の結論

サイクリングしても害はないが、効果があるかは不明。

予防原則に従うなら、2-4週間ごとに1週間休むのはアリだ。だが、それが必要かどうかは分からない。

Alpha-GPC、L-チロシン:同様にエビデンス不足

Hubermanが推奨する他のサプリ(Alpha-GPC、L-チロシン等)についても検索したが、サイクリングに関するRCTは見つからなかった

理論的根拠

  • Alpha-GPC: アセチルコリン前駆体。連続摂取でコリン作動性受容体がダウンレギュレーションする可能性(理論)
  • L-チロシン: ドーパミン前駆体。同様の懸念(理論)

だが、これらは動物実験や薬理学的推測に基づいている。サプリの用量でヒトに同じことが起きるかは検証されていない。

カフェイン耐性のメカニズム

なぜカフェインだけ耐性のエビデンスが豊富なのか?

アデノシン受容体のアップレギュレーション

  1. カフェインはアデノシンA1受容体をブロックする
  2. 慢性的な摂取 → 脳がアデノシン受容体を増やす(アップレギュレーション)
  3. 結果: 同じ量のカフェインでは効果が減少
  4. カフェインを止めると → 過剰な受容体により離脱症状(頭痛、疲労感)

このメカニズムは動物実験でも確認されている。

サイクリングの理論的根拠:

  • 定期的にカフェインを休むことで、受容体を正常化
  • 再びカフェインを摂った時に効果が復活

実践的なサイクリング戦略

カフェイン

推奨: 週5日使用、週2日休み

または:

  • 月3週間使用、1週間休み
  • 重要なイベント前に2-3日休んでから摂取

用量: 3-6mg/kg(体重70kgなら210-420mg)

クレアチン

サイクリング不要。毎日3-5g。

ローディング(20g×5日)も不要。毎日3-5gで十分な濃度に達する。

アダプトゲン(アシュワガンダ等)

エビデンス不足だが、サイクリングしても害はない

予防原則に従うなら:

  • 2-4週間使用、1週間休み
  • または、平日のみ使用、週末は休み

Alpha-GPC、L-チロシン

同様にエビデンス不足

Hubermanの推奨に従うなら:

  • 必要な時だけ使用(毎日ではない)
  • または、週3-4日使用

まとめ

サプリサイクリング根拠俺の結論
カフェイン推奨RCTあり週2日休め
クレアチン不要耐性なし毎日3-5g
アシュワガンダ不明RCTなし予防原則ならアリ
Alpha-GPC不明RCTなし毎日は不要かも
L-チロシン不明RCTなし必要な時だけ

Hubermanの「サプリサイクリング戦略」は、カフェインについては科学的根拠がある。約15日で耐性が発現し、習慣的ユーザーでは「離脱からの回復」効果しか得られない可能性がある。

一方、クレアチンはサイクリング不要。耐性は発現しないので、毎日摂り続けるのが正解。

アダプトゲンやノートロピクスについては、エビデンス不足。Hubermanの推奨は「予防原則」に基づく推測であり、RCTによる検証はされていない。

効果サイズ原理主義者としては、エビデンスがあるカフェインのサイクリングだけを実践し、他は「効いたらラッキー」程度に考えておくのが合理的だ。

おすすめ商品

サイクリング戦略に基づいて選んだ商品を紹介する。

カフェイン(サイクリング推奨)

週5日使用、週2日休み。重要なイベント前に効果を最大化するために。

ALLMAX, Essentials(エッセンシャルズ)、カフェイン、200mg、タブレット100粒

1粒200mg。体重70kgなら1〜2粒で効果的な用量。分割しやすいタブレット。

iherb.com

(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)

Sports Research, L-テアニン&カフェイン、2イン1フォーミュラ、ソフトジェル60粒

カフェイン+L-テアニンの組み合わせ。集中力向上とジッター軽減を両立。

iherb.com

(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)

クレアチン(サイクリング不要)

毎日3-5g。耐性は発現しないので、中断せず継続摂取が正解。

NOW Foods, スポーツ、クレアチンモノハイドレート、1kg(2.2ポンド)

コスパ最強の1kg。毎日5gで約200日分。サイクリング不要なので大容量が合理的。

iherb.com

(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)

アシュワガンダ(エビデンス不足だがサイクリングしても害はない)

予防原則に従うなら、2-4週間使用、1週間休み。

NOW Foods, アシュワガンダ、標準化エキス、450mg、ベジカプセル90粒

コスパ重視のアシュワガンダ。サイクリングするなら小容量から試す。

iherb.com

(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)

この記事のライター

竹内 翔の写真

竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

竹内 翔の他の記事を見る
「何が効くか」ではなく「どのエビデンスをどこまで追うか、何を優先して選ぶか」を議論する、4人の異なる価値観を持つ健康研究メディア

検索

ライター一覧

  • 三島 誠一

    三島 誠一

    論文原理主義者。PubMed、Examine.comを週末に巡回するのが娯楽。メタアナリシス・RCTまで読み、成分フォームと生体利用率を重視する。 おすすめを見る →
  • 桂木 瑛

    桂木 瑛

    エビデンス沼のワーママ。信頼できるインフルエンサー経由の情報を追い、エビデンスあるものを試して体感で続けるか決めるスタイル。 おすすめを見る →
  • 竹内 翔

    竹内 翔

    効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。 おすすめを見る →
  • 結城 優衣

    結城 優衣

    QOL研究家。エビデンス弱いのは分かった上で、QOL込みで選ぶ。続けられること、気分が上がることも効果のうちという考え。 おすすめを見る →

成分ガイド

タグ

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。