閉経後女性の筋トレ+プロテイン戦略、34研究の効果サイズで検証
閉経後の女性は筋肉量と骨密度が低下し、脂肪量が増加する。
これはエストロゲン減少による生理的な変化だ。避けられない。
だが、筋力トレーニングでこの変化に抗えることは、多くの研究で示されている。
問題は、「プロテインやサプリを追加すれば、もっと効果が上がるのか?」だ。
効果サイズで検証した結果、答えは明確だった。
結論から言う
| 介入 | アウトカム | 効果サイズ | 評価 |
|---|---|---|---|
| 筋トレ単独 | 体組成・筋力・骨密度 | 確立(有意) | ★★★★★ |
| 筋トレ + ホエイ | 上腕筋力 | SMD 0.68 | ★★★★☆ |
| 筋トレ + ホエイ | 下肢除脂肪量 | SMD 1.10 | ★★★★★ |
| ホエイ単独 | 筋力・除脂肪量 | なし | ★☆☆☆☆ |
| カロリー制限 | 脂肪量減少 | 促進 | ★★★★☆ |
| タンパク質補充 | 筋力・除脂肪量 | 追加効果なし | ★★☆☆☆ |
| クレアチン等 | 各指標 | 不十分 | ★★☆☆☆ |
筋トレが土台。プロテインは「筋トレと一緒に」摂れば効果あり。単独では意味なし。
主要研究: Walter et al. 2026(システマティックレビュー)
Walter et al. 2026の研究を紹介する。
研究デザイン
- 対象: 閉経後女性 1,541名
- 研究数: 34研究(うち31研究がPEDroスコア≥6)
- 登録: CRD42023412915
PEDroスコア6以上というのは、方法論的に質の高い研究だ。
筋トレ単独の効果
体組成、筋力、骨密度すべてで有意な改善。
これは確立されたエビデンスだ。閉経後の女性でも、筋トレは確実に効く。
この点は強調しておきたい。筋トレ自体の効果は疑いようがない。
カロリー制限(250-750 kcal/日)の追加効果
11研究のデータによると、カロリー制限を加えると脂肪量減少が促進される。
これは直感的にも理解できる結果だ。筋トレでエネルギー消費を増やし、食事で摂取を減らす。基本に忠実な戦略が効く。
タンパク質摂取(≥0.8g/kg)の追加効果
ここが重要なポイントだ。
“Protein intake was examined in nine studies and has no significant additional effect on muscle strength and lean body mass with a minimal intake of 0.8 g/kg bodyweight.”
9研究のデータで、0.8g/kg以上のタンパク質摂取に追加効果なし。
これは「プロテインを飲んでも意味がない」という話ではない。
最低ライン(0.8g/kg)を確保していれば、それ以上飲んでも追加効果がないという話だ。
サプリメントの追加効果
| サプリ | 研究数 | 結果 |
|---|---|---|
| アミノ酸 | 3 | エビデンス不十分 |
| カルシウム+ビタミンD | 4 | エビデンス不十分 |
| クレアチン | 4 | エビデンス不十分 |
| オメガ3 | 1 | エビデンス不十分 |
研究者の結論:
“While a calorie-restricted diet and adequate protein intake appear to promote favourable changes in body composition, the available data is still insufficient to derive specific and evidence-based recommendations regarding supplementation in conjunction with strength training.”
筋トレ自体は確実に効く。サプリの追加効果はエビデンスが十分ではない。
ホエイプロテインのメタアナリシス: Kuo et al. 2022
Kuo et al. 2022の研究では、ホエイプロテインの効果サイズが報告されている。
研究デザイン
- 対象: 閉経後女性(55歳以上)
- 研究数: 14研究(メタアナリシス10研究)
- 比較: ホエイプロテイン ± 筋トレ
筋トレあり群の結果
| アウトカム | 効果サイズ(SMD) | 95%CI | 評価 |
|---|---|---|---|
| 上腕二頭筋カール筋力 | 0.68 | 0.18-1.19 | ★★★★☆ |
| 下肢除脂肪量 | 1.10 | 0.63-1.57 | ★★★★★ |
| 脂肪量 | 有意差なし | - | - |
SMD 0.68は中程度、SMD 1.10は大きい効果サイズだ。
これは「ホエイプロテイン + 筋トレ」の組み合わせに明確な追加効果があることを示している。
筋トレなし群の結果
| アウトカム | 結果 |
|---|---|
| 筋力 | 有意差なし |
| 除脂肪量 | 有意差なし |
| タンパク質摂取量 | 低下(SMD: -0.42) |
ホエイプロテインは筋トレと組み合わせないと効果がない。
研究者の結論:
“WP supplementation only in combination with RT enhances BC and LLLM compared to placebo controls. Without RT, WP has no significant benefit on muscle strength or lean mass.”
これは非常に重要な知見だ。プロテインを飲むだけでは筋肉は増えない。筋トレと組み合わせて初めて効果が出る。
高ボリューム筋トレの追加効果
Nunes et al. 2023の研究では、トレーニング量の影響が検証されている。
研究デザイン
- 対象: 過体重/肥満の閉経後女性
- 研究数: 20 RCT
- 比較: 低ボリューム(~44セット/週)vs 高ボリューム(~77セット/週)
結果
| アウトカム | 低ボリューム | 高ボリューム |
|---|---|---|
| グルコース | SMD: -0.78 | SMD: -1.19 |
| CRP | SMD: -0.34 | SMD: -1.00 |
高ボリュームの筋トレほど、代謝リスクと炎症の改善効果が大きい。
これは閉経後女性に限らず、一般的な原則だ。トレーニング量を増やせば効果も増える(オーバートレーニングにならない範囲で)。
実践的な推奨
優先順位
- 筋トレを始める(これが最も効果サイズが大きい)
- タンパク質は0.8g/kg以上確保(最低ラインをクリアすればOK)
- 脂肪を減らしたいならカロリー制限を追加
- ホエイプロテインは筋トレと一緒に(単独では意味なし)
ホエイプロテインの使い方
筋トレをしている人なら、ホエイプロテインの追加効果は明確だ(SMD 0.68-1.10)。
トレーニング後に20-30gのホエイプロテインを摂取するのは、効果サイズで支持されている戦略だ。
純粋なWPI。1食25gのタンパク質。閉経後女性の研究でも効果が確認されている形態。筋トレと組み合わせて。
iherb.com
(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)
サプリに過度な期待をしない
クレアチン、カルシウム+ビタミンD、オメガ3については、現時点ではエビデンスが不十分だ。
「効かない」とは言っていない。「十分なデータがない」ということだ。
これらを試すのは悪くないが、まず筋トレとタンパク質を優先すべきというのが、効果サイズから導かれる結論だ。
俺の結論
閉経後の女性にとって、筋トレは最も効果サイズが大きい介入だ。
ホエイプロテインは筋トレと組み合わせれば追加効果がある(SMD 0.68-1.10)。これは見過ごせない効果サイズだ。
だが、プロテインを飲むだけでは意味がない。筋トレが土台。これは若い男性でも閉経後の女性でも同じ原則だ。
サプリに月何万円もかける前に、週2-3回の筋トレを習慣にすること。それが効果サイズ原理主義者としての俺の結論だ。
まとめ
- 筋トレ単独: 体組成・筋力・骨密度すべてに効果あり(確立されたエビデンス)
- ホエイ + 筋トレ: 上腕筋力SMD 0.68、下肢除脂肪量SMD 1.10(追加効果あり)
- ホエイ単独: 効果なし(筋トレと一緒に摂るべき)
- タンパク質: 0.8g/kg以上で十分、それ以上の追加効果なし
- クレアチン等: エビデンス不十分(否定ではなく、データ不足)
- 結論: 筋トレが土台。プロテインは「追加」でしかない
