キノコブレンドのアダプトゲン効果、ストレス・疲労・睡眠RCTを検証
「キノコサプリ」が流行っている。
Lion’s Mane(ヤマブシタケ)、Reishi(霊芝)、Cordyceps(冬虫夏草)。これらをブレンドした製品が、ストレス軽減や睡眠改善を謳って売られている。
効果サイズ原理主義者の俺としては、PubMedでRCTを確認するしかない。
結論から言うと、「効かない」とは言えないが、効果サイズの定量的報告がほぼなく、評価が難しい。
最新RCT: 50名、12週間の二重盲検試験
Hisamuddin et al. 2026の研究を見ていく。
研究デザイン
- 対象: 50名(成人)
- 期間: 12週間
- 介入: キノコブレンド(Restake)vs プラセボ
- デザイン: 二重盲検RCT
評価項目が充実している
この研究の良い点は、評価項目が多角的なことだ。
心理指標:
- PSQI(睡眠の質)
- STAI-S、HAM-A(不安)
- BDI(抑うつ)
- MFI(疲労)
血清バイオマーカー:
- コルチゾール、ACTH
- メラトニン、CRP
主観的指標だけでなく、客観的なバイオマーカーも測定している。これは評価できる。
結果: 複数の項目で有意差
| 項目 | 6週時点 | 12週時点 |
|---|---|---|
| 不安(STAI-S) | p=0.025 | p=0.011 |
| 不安(HAM-A) | p=0.002 | p=0.002 |
| 抑うつ(BDI) | p < 0.001 | p=0.008 |
| 睡眠の質(PSQI) | p=0.005 | p < 0.001 |
| 一般疲労 | - | p=0.043 |
| 身体疲労 | - | p=0.027 |
バイオマーカーも変化している:
| マーカー | 結果 |
|---|---|
| コルチゾール | 有意に低下(p < 0.001) |
| ACTH | 有意に低下(p < 0.001) |
| CRP | 有意に低下(p=0.042) |
p値だけ見れば、かなり良い結果に見える。
俺の疑問: 効果サイズはどこだ?
ここが問題だ。
この研究、効果サイズ(Cohen’s dやSMD)が報告されていない。
p値が有意でも、効果サイズが小さければ実用的な意味は薄い。例えば:
- 不安スコアが「50点→48点」で有意差が出ても、実感できるレベルか?
- 「50点→35点」なら明らかに違う
p値だけでは「どのくらい効いたか」が分からない。
これは俺がずっと言っていることだ。統計的に有意=実用的に意味がある、ではない。
他のRCTも見てみる
Lion’s Mane単体: Docherty et al. 2023
- 用量: 1.8g/日
- 期間: 28日間
結果:
- 急性効果(60分後): 認知タスクの反応速度向上(p=0.005)
- 慢性効果(28日後): 主観的ストレス低下の傾向(p=0.051)
p=0.051。これは有意差なしだ。「傾向がある」とは言えるが、効果があるとは言えない。
研究者自身もこう書いている:
“Given the small sample size, these findings should be interpreted with caution.”
正直で良い。
Reishi単体: Mitra et al. 2024
- 用量: 500mg群 vs 1000mg群 vs プラセボ
- 期間: 30日間
結果(1000mg群):
- 不安、抑うつ: 有意に改善
- 活力: 有意に改善
- VO2max: 有意に改善
これも効果サイズの報告がない。
ヤマブシタケ: Nagano et al. 2010
- 期間: 4週間
- 介入: ヤマブシタケクッキー vs プラセボクッキー
結果:
- 抑うつ(CES-D): 有意に低下
- 不定愁訴(ICI): 有意に低下
ただし、更年期女性に限定された研究だ。
システマティックレビュー: Menon et al. 2025
Lion’s Maneのシステマティックレビューが2025年に出ている。
5つのRCT、15の実験室研究、3つのパイロット試験を含む。
結論:
- 神経保護作用: あり
- 認知機能向上: あり
- 不安・抑うつ改善: あり
ただし:
- 多くがパイロット研究(小規模)
- 効果サイズの定量的評価なし
- 製品間の差が大きい
副作用は軽度(胃の不快感、頭痛、アレルギーが稀に報告)。
効果サイズ原理主義者としての評価
正直に言うと
| 項目 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| エビデンスの存在 | ★★★☆☆ | RCTは複数存在 |
| 効果サイズの報告 | ★☆☆☆☆ | ほぼ報告なし |
| 研究の独立性 | ★★☆☆☆ | 製造元資金が多い |
| 再現性 | ★★☆☆☆ | 製品ごとに成分が違う |
俺がプロテインやクレアチンを推すのは、効果サイズが明確に報告されているからだ。
キノコサプリには、その明確さがない。
だが「効かない」とも言い切れない
ここは公平に言おう。
- 複数のRCTで一貫した傾向: 不安、抑うつ、睡眠で改善傾向
- バイオマーカーの変化: コルチゾール低下は客観的データ
- 副作用リスクが低い: 重篤な副作用の報告なし
「エビデンスがない」ではなく、「エビデンスはあるが、効果サイズの定量化が不十分」というのが正確だ。
誰に向いているか
試してみる価値があるかもしれない人
- ストレスや不安を日常的に感じている人
- 睡眠の質を改善したい人
- アダプトゲンに興味がある人
- 副作用リスクの低いサプリを探している人
俺なら優先しない人
- 確実なエビデンスを求める人
- 効果サイズを重視する人(俺みたいに)
- コスパを最優先にする人
- 筋肥大・パフォーマンス向上が目的の人
筋トレ民なら、まずプロテインとクレアチン。これは揺るがない。
キノコサプリは「余裕があれば試してもいい」カテゴリだ。
用量と選び方
用量の目安
研究で使われた用量:
- Lion’s Mane: 1-2g/日
- Reishi: 500-1000mg/日
- ブレンド製品: 製品による
選び方のポイント
- 成分表示が明確な製品を選ぶ: 何がどれだけ入っているか分かるもの
- 第三者検査済み: 重金属汚染のリスクを避ける
- 子実体(fruiting body)使用: 菌糸体より有効成分が多い傾向
安い製品には菌糸体(mycelium)のみで、有効成分が薄いものもある。
試すなら
子実体使用で成分表示が明確なものを選ぶ。
子実体100%使用。β-グルカン含有量明記。研究で使われた用量(1-2g/日)に近い。
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(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)
オーガニック認証。コスパ良く試したい人に。
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まとめ
| 項目 | 俺の評価 |
|---|---|
| エビデンスの存在 | あり(RCT複数) |
| 効果サイズ | 不明(報告不足) |
| リスク | 低い |
| コスパ | 微妙(高価な製品が多い) |
| 優先度 | 低〜中 |
キノコブレンドサプリは、「効かない」と切り捨てるほどエビデンスが弱いわけではないが、「効く」と断言できるほど強くもない。
俺のスタンスは明確だ:
- まずプロテイン、クレアチン、食事を優先
- 効果サイズが明確なサプリから始める
- キノコサプリは「余裕があれば」
ただし、ストレスや睡眠に悩んでいる人が試してみるのは否定しない。副作用リスクは低く、複数のRCTで改善傾向が報告されている。
過度な期待は禁物だが、試す価値がないわけでもない。
これが効果サイズ原理主義者としての、正直な評価だ。

