サーモセラピーでうつ病が緩和?JAMA精神医学のRCTを読み解いて始めた温熱習慣

サーモセラピーでうつ病が緩和?JAMA精神医学のRCTを読み解いて始めた温熱習慣

サウナがメンタルに良いらしい。

そんな話をよく聞くようになった。でも、本当にエビデンスがあるのか?

気になって調べてみたら、JAMA Psychiatryに掲載されたRCTを見つけた。これがかなり面白い結果だった。

たった1回の全身温熱療法で、6週間も抗うつ効果が持続する。

今回は、この論文を読み解いた上で、私が自宅で続けている温熱習慣を紹介する。

サーモセラピーとは

サーモセラピー(温熱療法)は、体を温めることで健康効果を得る療法の総称。

種類方法特徴
全身温熱療法(WBH)医療用デバイスで核心体温を38.5°Cまで上昇医療機関で実施
サウナ80-100°Cの高温室に10-15分フィンランド式が代表的
赤外線サウナ50-60°Cの低温で長時間家庭用もあり
温浴38-40°Cの湯に浸かる最も手軽

どれも「体を温める」という点では同じ。違いは温度と時間、そして核心体温がどこまで上がるか。

JAMA Psychiatryに掲載されたRCT

2016年のJanssen et al.の研究が最も重要なエビデンス。

研究デザイン

対象: うつ病患者29名(HDRS 16点以上) デザイン: 6週間の二重盲検ランダム化比較試験 介入: 全身温熱療法(WBH)1回のみ vs シャム(偽治療)

WBHでは核心体温を38.5°Cまで上昇させる。シャム群は同じ手順を経験するが、温度は上がらない。

結果: 6週間持続する抗うつ効果

効果(HDRS変化)95% CIp値
1週目-6.53-9.90 to -3.16< 0.001
2週目-6.35-9.95 to -2.740.001
4週目-4.50-8.17 to -0.840.02
6週目-4.27-7.94 to -0.610.02

HDRS(ハミルトンうつ病評価尺度)は0-52点で、点数が低いほど良い。-6.53の改善は臨床的に意味のある大きな効果

さらに驚くべきは、たった1回の治療で6週間も効果が持続していること。

ブラインドは成功したか

シャム群の71%が「自分はWBHを受けた」と信じていた。つまり、盲検は成功しており、プラシーボ効果だけでは説明できない。

副作用

両群とも副作用は軽度。重篤な有害事象なし。

なぜ温熱療法がうつに効くのか

2026年のレビュー論文(Høydal)がメカニズムを詳しく解説している。

1. 炎症仮説

うつ病患者は慢性的に炎症マーカーが上昇している。

Flux 2023の研究では、WBH後にIL-6が一時的に上昇し、この上昇が抗うつ効果と関連していた。

一見矛盾するようだけど、急性の炎症反応が長期的な抗炎症状態を誘導する可能性がある。運動で一時的に炎症が起きるのと似たメカニズムかもしれない。

2. 体温調節と気分

体温調節中枢と気分調節中枢は、脳内で重複する神経回路を使っている。温熱刺激が両方に影響を与える可能性。

3. エンドルフィン放出

サウナ後の「スッキリ感」はエンドルフィン放出と関連。これが気分改善に寄与している。

4. セロトニン系の活性化

温熱刺激がセロトニン放出を促進するという動物実験のデータもある。

自宅で実践できる?

問題点: 医療用WBHは家庭では無理

Janssen 2016の研究で使われたのは医療用の温熱デバイス。核心体温を38.5°Cまで上げるには、専門的な設備が必要。

市販サウナでも可能性はある

Mason 2021の研究では、市販の赤外線サウナドームで全員が目標体温に到達できた。

項目結果
目標体温到達100%(25名全員)
到達時間平均82分(範囲: 61-110分)
ネガティブ感情有意に減少(p = 0.007)

ただし、82分は長い。毎日は厳しい。

私のアレンジ: 続けられる温熱習慣

厳密なWBHは無理。でも、温熱療法のメリットは取り入れたい。

そこで私が実践しているのは、以下の組み合わせ。

1. 毎晩のエプソムソルト入浴(基本)

これは以前から続けている習慣。

項目内容
温度39-40°C
時間20-30分
入浴剤エプソムソルト 200-300g
頻度毎晩

核心体温の上昇は限定的だけど、リラックス効果は確実にある。

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2. 半身浴で長時間(週2-3回)

胸より下の湯量で40分以上。心臓への負担を減らしつつ、ゆっくり体温を上げる。

項目内容
温度38-39°C(ぬるめ)
時間40-60分
湯量胸より下

本を読みながら、のんびり入る。これなら続けられる。

3. サウナ施設利用(月2-4回)

本格的な温熱刺激が欲しいときは、サウナ施設へ。

項目内容
温度80-90°C
時間10-15分 × 2-3セット
頻度週1回 or 2週に1回

フィンランド式サウナが理想だけど、近所のスーパー銭湯でも十分。

入浴後のケア

温浴後は脱水しやすい。水分と電解質を補給する。

マグネシウムオイルを足にスプレーするのも好き。

正直な評価

良い点

エビデンスはしっかりしている

JAMA Psychiatryに掲載されたRCTという時点で、かなり信頼性が高い。効果サイズも大きい。

副作用が少ない

薬と違って、温浴の副作用はほとんどない。正しく行えば安全。

気持ちいい

これが一番大事。続けられる理由は「気持ちいい」から

限界

厳密なWBHは家庭では無理

82分もサウナに入るのは現実的じゃない。エプソムソルト入浴では核心体温は38.5°Cまで上がらない。

うつ病の治療ではない

これは補助療法。重度のうつ病には専門的な治療が必要。

誰におすすめか

向いている人

  • 入浴が好きな人
  • ストレスを感じやすい人
  • 気分の落ち込みを感じることがある人
  • サウナが好きな人

向いていない人

  • 心疾患がある人(医師に相談)
  • 妊娠中の人
  • 入浴が苦手な人

まとめ

サーモセラピーとうつ病、エビデンスを調べた感想:

  • JAMA Psychiatry RCT: 1回のWBHで6週間持続する抗うつ効果(HDRS -6.53)
  • メカニズム: 炎症調整、エンドルフィン、セロトニン系の活性化
  • 実践の壁: 医療用WBHは家庭では困難
  • 私のアレンジ: エプソムソルト入浴 + 月2-4回のサウナ

続けられることが、私にとっては最強のエビデンス。

厳密なWBHは無理でも、毎晩のお風呂を少し長めに、少し熱めに。それだけでも、気持ちは軽くなる気がする。

注意事項

  • 脱水に注意。入浴前後に水分補給を
  • 心疾患がある場合は医師に相談
  • 飲酒後の入浴は避ける
  • うつ病の治療は専門家に相談を

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