腸-関節軸って本当?酪酸菌ポストバイオティクスRCTの正直な結果と私の結論
「腸と関節がつながっている」
そんな話を聞いて、調べてみた。腸-関節軸(gut-joint axis)という概念。腸内環境が全身の炎症に影響し、関節にも影響するという理論。
特に注目したのが酪酸菌。酪酸は短鎖脂肪酸の一種で、腸のバリア機能を保護し、炎症を抑える働きがある。
「酪酸菌を摂れば関節にも良いのでは?」と期待して、最新のRCT(ランダム化比較試験)を調べてみた。
ポストバイオティクスのRCT:正直な結果
加熱殺菌酪酸菌は効かなかった
Lee et al.(2026年)の研究では、ポストバイオティクス(加熱殺菌した酪酸菌)の効果を検証。
研究概要:
- 対象: 96名の軽度〜中等度膝関節症患者
- デザイン: 12週間の二重盲検プラセボ対照RCT
- 介入: ID-CBT5101(加熱殺菌酪酸菌)1.0 × 10^10 CFU相当/日
結果:
| 指標 | 群間差 |
|---|---|
| VAS(歩行時痛み) | 差なし |
| WOMAC(関節機能) | 差なし |
| IL-6(炎症マーカー) | 差なし |
| hs-CRP(炎症マーカー) | 差なし |
結論: 安全で忍容性は良好だが、臨床的有効性は示されなかった。
期待していただけに、正直がっかりした。
なぜ効かなかったのか
考えられる理由がいくつかある。
1. 加熱殺菌したから?
ポストバイオティクス(加熱殺菌菌)は、プロバイオティクス(生きた菌)と違い、腸内で代謝物を継続的に産生しない。酪酸を直接届けるには、生きた菌が必要かもしれない。
2. 酪酸菌単独では不十分?
腸内環境は複雑。酪酸菌だけでなく、複数の菌種の相互作用が関節に影響している可能性がある。
3. 12週間では短い?
関節の変化には長い時間がかかる。もっと長期の研究が必要かもしれない。
プロバイオティクス全体では効果あり
メタアナリシス:5つのRCTを統合
Tian et al.(2025年)のメタアナリシスでは、生きたプロバイオティクスの効果を検証。
研究概要:
- 対象: 5つのRCT、694名
- 方法: 腸-関節軸理論に基づく経口プロバイオティクスの評価
結果:
| 指標 | 効果 |
|---|---|
| WOMAC総合スコア | 有意に改善 |
| VAS(痛み) | 有意に改善 |
| hs-CRP(炎症) | 有意に低下 |
| 硬直 | 有意差なし |
| 体重 | 有意差なし |
解釈: 経口プロバイオティクスは膝関節症の機能・痛み・炎症に改善効果がある。
ポストバイオティクス(加熱殺菌)はダメでも、プロバイオティクス(生きた菌)は効くかもしれない。
腸-関節軸のメカニズム
短鎖脂肪酸が鍵
Han et al.(2025年)のレビューによると、短鎖脂肪酸(SCFA)、特に酪酸・プロピオン酸・酢酸が関節症の予防・治療に有望。
SCFAの働き:
- 腸管バリア機能を保護
- 全身の炎症を抑制
- 軟骨・軟骨下骨の完全性を維持
- 血液循環を介して関節に作用
動物実験では効果あり
Cho et al.(2022年)の研究では、生きたLactobacillusと酪酸がマウスの関節症を改善。
- 痛み閾値の改善
- 軟骨損傷の軽減
- 腸内の酪酸産生菌が増加
注目: 生きた菌がオートファジー(細胞の自己修復機能)を誘導している。
私の結論:続けやすい腸活を選ぶ
ポストバイオティクス単独では難しい
正直に言うと、関節のためだけにポストバイオティクスを摂るのはエビデンス不足。
でも、腸活全体としてプロバイオティクスを続けるのは意味がありそう。結果として関節にも良い可能性がある。
私の選択
1. 発酵食品を毎日
食物繊維と発酵食品から、腸内で酪酸を自然に産生させる。
- 納豆(枯草菌が酪酸産生菌を増やす)
- 味噌、ぬか漬け
- ヨーグルト
これが一番続けやすい。
2. 酪酸菌サプリは補助的に
旅行時や食事が乱れたときの補助として。
宮入菌(酪酸菌)単独のシンプルな処方。1日3回9錠が目安。
酪酸菌+乳酸菌+糖化菌の3種配合。相乗効果を期待するならこちら。
3. 関節ケアは別アプローチも検討
腸活だけに頼らず、関節に直接効くサプリも組み合わせる。
- コラーゲン(軟骨の材料)
- オメガ3(抗炎症)
- グルコサミン・コンドロイチン(古典的だがエビデンスあり)
誰におすすめか
向いている人
- 腸活をしながら関節も気になる人
- 発酵食品が好きで続けやすい人
- 長期的な視点で健康を考える人
- 複合的なアプローチを好む人
向いていない人
- 関節の痛みを今すぐ改善したい人(医療機関へ)
- ポストバイオティクスだけで関節ケアを期待する人
- エビデンスが確立したものだけを選びたい人
まとめ
腸-関節軸について調べた結論:
- ポストバイオティクス(加熱殺菌酪酸菌): 膝関節症RCTでプラセボと有意差なし
- プロバイオティクス全体: メタアナリシス(5 RCT)で効果あり
- 短鎖脂肪酸: 動物実験では関節保護効果あり
- 推奨: 弱い(関節目的)→ 中程度(腸活の一環として)
続けられることが、私にとっては最強のエビデンス。
関節のためだけにサプリを増やすより、発酵食品を毎日食べる腸活習慣を続ける方が私には合っている。
結果として関節にも良いかもしれない。そのくらいの期待で十分だと思う。
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