長寿医師のサプリスタック、効果サイズで検証すると意外な結果に

長寿医師のサプリスタック、効果サイズで検証すると意外な結果に

長寿研究で影響力のある医師たちが、どんなサプリを摂っているか気になる人は多いだろう。

「保守的でエビデンス重視」と言われる医師のスタックを効果サイズで検証したら、意外な結果が見えてきた。

検証するサプリスタック

今回検証するのは、長寿研究で有名な医師が実際に摂取している以下のサプリだ。

日常サプリ

サプリ用量目的
オメガ3(EPA/DHA)3.5g/日心血管
ビタミンD5,000 IU(国際単位)/日全般
マグネシウム700mg/日欠乏予防
クレアチン5g/日筋力・認知

睡眠サプリ

サプリ用量目的
グリシン2g/就寝前睡眠の質
アシュワガンダ300mg/就寝前ストレス
マグネシウムL-スレオネート96mg/就寝前認知・睡眠

「保守的」「エビデンス重視」と言われる医師のスタックなら、効果サイズも確実なはず…と思うだろ?

結果を見てくれ。

オメガ3(3.5g/日):79 RCTで心血管死亡に効果なし

最も衝撃的な結果から始める。

Abdelhamid et al. 2018は、オメガ3と心血管に関する79のRCT(ランダム化比較試験)、112,059名をメタ解析したCochraneレビューだ。

結果

アウトカム効果判定
全死亡RR(相対リスク) 0.98(95%CI(信頼区間): 0.90-1.03)有意差なし
心血管死亡RR 0.95(95%CI: 0.87-1.03)有意差なし
心血管イベントRR 0.99(95%CI: 0.94-1.04)有意差なし
中性脂肪約15%低下有意

79 RCT、11万人のデータで「心血管死亡に効果なし」だ。

中性脂肪は確かに下がる。だがそれが死亡率低下に繋がるかは不明。サロゲートマーカーの罠だ。

この医師は「赤血球膜濃度12%」を目標にオメガ3を3.5g/日摂っている。だがその目標自体のエビデンスは弱い。

俺の評価: ★★☆☆☆(期待より低い)

ビタミンD(5,000 IU/日):がん死亡16%減少が唯一の光

Zhang et al. 2019は、ビタミンDに関する52のRCT、75,454名をメタ解析した。

結果

アウトカム効果判定
全死亡RR 0.98(95%CI: 0.95-1.02)有意差なし
心血管死亡RR 0.98(95%CI: 0.88-1.08)有意差なし
がん死亡RR 0.84(95%CI: 0.74-0.95)16%減少

全死亡、心血管死亡には効果なし。だががん死亡は16%減少している。

この医師は血中濃度40-60ng/mlを目標に個別調整している。欠乏者への補充は意味があるし、がん死亡減少を考えると合理的な選択だ。

俺の評価: ★★★☆☆

アシュワガンダ(300mg/日):コルチゾールは下がるが体感は変わらない

アシュワガンダは「アダプトゲン」として人気がある。2つのメタアナリシスを見てみよう。

Arumugam et al. 2024(PMID: 39348746)- 9 RCT, 558名

アウトカム効果判定
知覚ストレス(PSS(知覚ストレス尺度))MD(平均差) = -4.72有意
ハミルトン不安尺度MD = -2.19有意
血清コルチゾールMD = -2.58有意

Albalawi 2025(PMID: 40746175)- 7 RCT

アウトカム効果判定
コルチゾール-1.16 µg/dL(p < 0.001)有意
知覚ストレス(PSS)SMD(標準化平均差) = -0.355(p = 0.40)有意差なし

重要な発見がある。

最新のメタアナリシスでは、コルチゾールは確実に下がるが、主観的なストレス感は変わらないことが示された。

バイオマーカーは改善するが体感は変わらない。これはサプリ研究でよくあるパターンだ。

「ストレスが減った気がする」のはプラセボかもしれない。

NOW Foods アシュワガンダ 450mg

標準化エキス。コルチゾール低下を期待するなら

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俺の評価: ★★★☆☆(コルチゾール低下目的なら検討価値あり)

グリシン(2g/日):有望だが大規模エビデンス不足

Soh et al. 2023は、グリシンに関する系統的レビューだ。

主な知見

  • 神経系への効果が最も肯定的
  • 健康人の睡眠改善を示す研究あり
  • ただしサンプルサイズが小さく、バイアスリスクが高い

グリシンは非必須アミノ酸で安全性は高い。睡眠への効果も有望だ。

だが大規模RCTがない。既存研究は小規模・短期間ばかり。

「試す価値はあるが、効果サイズ確定ではない」というのが正直な評価だ。

Thorne グリシン 500mg

就寝前に2-3g。睡眠サポートに

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俺の評価: ★★☆☆☆

マグネシウムL-スレオネート:認知機能にCohen’s d = 0.91

Liu et al. 2016は、マグネシウムL-スレオネート(MMFS-01)のRCTだ。

研究デザイン

  • 対象:認知機能低下のある50-70歳、44名
  • 期間:12週間
  • 二重盲検プラセボ対照

結果

  • 全体的認知能力が有意に改善
  • Cohen’s d(コーエンのd) = 0.91(大きい効果サイズ)

**Cohen’s d = 0.91は「大きい効果サイズ」**だ。これは注目に値する。

ただし対象は認知機能低下のある高齢者。健康な若年者への効果は不明だ。

この医師は50代なので、彼にとっては合理的な選択と言える。

NOW Foods Magtein マグネシウムL-スレオネート

脳に届くマグネシウム。認知サポートに

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俺の評価: ★★★☆☆(50代以上なら検討価値あり)

クレアチン(5g/日):効果サイズA、文句なし

クレアチンについては詳しく書いたが、簡単にまとめる。

用途効果サイズ評価
筋力A(大)★★★★★
認知機能(高齢者)SMD 0.88★★★☆☆

685件のRCT、12,800名のデータで効果が確認されている。これは文句なしの選択だ。

俺の評価: ★★★★★

効果サイズ比較表

サプリ用量主要アウトカム効果サイズ俺の評価
クレアチン5g筋力A(大)★★★★★
Mg L-スレオネート96mg認知(高齢者)d=0.91(大)★★★☆☆
ビタミンD5,000 IUがん死亡16%減★★★☆☆
アシュワガンダ300mgコルチゾール有意低下★★★☆☆
グリシン2g睡眠不明(小規模)★★☆☆☆
オメガ33.5g心血管死亡ほぼゼロ★★☆☆☆

「保守的」は本当か?

この医師は「保守的でエビデンス重視」と言われている。

だが効果サイズで見ると、オメガ3 3.5g/日は大規模エビデンスに反する選択だ。79 RCTで心血管死亡に効果がないのに、なぜ高用量を摂り続けるのか。

中性脂肪が下がるから?それはサロゲートマーカーに過ぎない。

「保守的」という評判ほど保守的ではない、というのが俺の結論だ。

俺ならどうするか

このスタックから採用するもの

  1. クレアチン 5g/日 - 効果サイズA、迷いなし
  2. ビタミンD - がん死亡16%減少、血中濃度を見て調整
  3. マグネシウム - 欠乏予防として合理的

採用しないもの

  1. オメガ3 3.5g/日 - 魚を食べる方が優先。高用量の根拠が弱い
  2. グリシン - 大規模エビデンス不足。試すなら自己実験として

検討するもの

  1. アシュワガンダ - コルチゾール低下目的なら。体感は期待しない
  2. マグネシウムL-スレオネート - 50代以上で認知サポートを求めるなら

どんな人におすすめか

このスタックが参考になる人

  • 50代以上:マグネシウムL-スレオネートの認知効果が期待できる
  • 血中濃度をモニタリングできる人:ビタミンD、オメガ3の個別調整が可能
  • コルチゾール管理が目的の人:アシュワガンダは確実に効く

参考にしすぎない方がいい人

  • 若い健康な人:効果サイズが小さい or 不明なサプリが多い
  • コスパ重視の人:クレアチン + マグネシウム + ビタミンDで十分
  • 「有名人が摂ってるから」で選ぶ人:効果サイズを自分で確認すべき

まとめ

  • オメガ3は79 RCTで心血管死亡に効果なし。高用量の根拠は弱い
  • アシュワガンダはコルチゾールを下げるが、体感ストレスは変わらない
  • クレアチンとマグネシウムL-スレオネートは合理的な選択
  • 「保守的」という評判ほど保守的ではない
  • 効果サイズで検証すると、過大評価されているサプリが見える

有名人のスタックをそのまま真似るな。効果サイズを確認しろ。

今回紹介したサプリ

Optimum Nutrition マイクロナイズド・クレアチンパウダー

効果サイズAの王道サプリ。5g/日で筋力にも認知にも

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NOW Foods Magtein マグネシウムL-スレオネート

脳に届くマグネシウム。50代以上の認知サポートに

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NOW Foods アシュワガンダ 450mg

コルチゾール低下を期待するなら。体感は過度に期待しない

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竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

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