サプリの飲み合わせ、絶対NGだけ一覧。論文で止める4パターン
サプリの飲み合わせを真面目にやり始めると、話が無限に広がる。
カルシウム × 鉄、鉄 × 亜鉛、マグネシウム × 甲状腺薬、魚油 × 抗凝固薬。論点は山ほどある。だが、全部を1本に入れると、読者は結局「で、何をやめればいいのか」が分からなくなる。
だから今回は絞る。時間を空ければ済む話や条件次第で許容できる話は捨てる。論文原理主義者として、私が「これは自分なら止める」と言う組み合わせだけを書く。
先に結論
| 判定 | 組み合わせ | 理由 |
|---|---|---|
| 絶対NG | 高用量亜鉛を、銅なしで長期 | 銅欠乏、貧血、神経症状 |
| 絶対NG | レチノール系ビタミンAの重複 | 慢性毒性、催奇形性 |
| 絶対NG | 高用量ビタミンD + 高用量カルシウムを自己流で重ねる | 高カルシウム尿症、高カルシウム血症 |
| 絶対NG | シネフリン系脂肪燃焼サプリ + 高カフェイン | 心血管リスクの上乗せ懸念 |
この4つだけ覚えておけばいい。
なお、処方薬との相互作用は別軸だ。そこは以前書いた サプリの飲み合わせNG一覧 にまとめてある。
1. 高用量亜鉛を、銅なしで長期
最初の絶対NGはこれだ。
亜鉛は人気が高い。風邪、皮膚、男性機能、テストステロン。何にでも顔を出す。だが、高用量を単独で長く続ける設計は雑すぎる。
2015年のレビューでは、亜鉛を処方されていた70例を見直している。そこで、62%が銅欠乏を起こしうる量を使っていた。さらに、9%で説明不能の貧血、7%で典型的な神経症状が見られた。
ここで重要なのは、「亜鉛と銅を同時に飲むな」という話ではないことだ。逆だ。危険なのは、亜鉛だけを積み上げて、銅を見ないことだ。
私は、50mg/日を超える亜鉛 を数か月単位で続けるなら、単独継続は切る。血液検査もせず、銅も見ず、「亜鉛は免疫にいいから」で走るのは、典型的な事故パターンだ。
2. レチノール系ビタミンAの重複
次はビタミンAだ。ここはβカロテンではなく、preformed vitamin A の話をしている。
Vitamin A Toxicity のレビューで整理されている通り、過剰になると問題になるのは retinol や retinyl esters だ。慢性過剰で、
- 肝障害
- 骨への悪影響
- 皮膚症状
- 頭蓋内圧亢進
- 妊娠中なら催奇形性
が見えてくる。
ここで事故りやすいのが、重複だ。
- 肝油
- レチノール入りマルチビタミン
- 肝臓由来のカプセル
- 美容文脈のビタミンA単体
これを「全部少量だから」で重ねる人がいる。私はやらない。
さらに、ノルウェーのHUNT研究は、旧処方でビタミンA含量が高かった肝油が対象だ。摂取と成人発症喘息との関連が報告されている。因果を断言する研究ではないが、「高ビタミンAの肝油を毎日足す」ことの雑さは十分伝わる。
魚油と肝油は別だ。EPA/DHA目的の魚油に、レチノールの論点は基本的に乗らない。ここを混同しないこと。
3. 高用量ビタミンDに、高用量カルシウムを自己流で重ねる
これは誤解されやすいので、最初に線を引く。
私は ビタミンDそのもの を否定していない。欠乏是正には意味がある。カルシウム補充も、骨粗鬆症文脈では当然ありうる。
止めるのは、高用量Dを入れている人が、さらにカルシウムまで自己判断で厚く積む パターンだ。
2014年の1年RCTでは、総カルシウム摂取を約1200mg/日に調整した高齢女性で、
- 高カルシウム尿症 30.6%
- 高カルシウム血症 8.8%
が起きている。
さらに、2016年のメタ解析では、長期ビタミンD補充群で
- 高カルシウム血症 RR 1.54
- 高カルシウム尿症 RR 1.64
と上がっていた。
ここでの教訓は単純だ。骨に良さそうなものを全部足すな、である。
ビタミンDもカルシウムも、単体なら成立する場面はある。だが、血中25(OH)Dも尿中カルシウムも見ない人は多い。5000IUのD3 に カルシウム1000mg を雑に足すのは、私なら止める。
ビタミンDの基本設計そのものは、以前の ビタミンD3・K2・マグネシウムの記事 で整理した。今回の論点は、高用量の重ね方だ。
4. シネフリン系脂肪燃焼サプリに、高カフェインを重ねる
最後は刺激系だ。
シネフリンは、Citrus aurantium 系の脂肪燃焼サプリやプレワークアウトに入っていることがある。ここにさらにカフェインを重ねる設計は、私は切る。
2017年のリスク評価レビューは、シネフリンのリスクを整理している。カフェイン併用や運動負荷で心血管への悪影響が増幅しうるとしていた。症例報告では、
- 高血圧
- 不整脈
- 心筋梗塞
まで出ている。
一方で、小規模ヒト試験は安静座位条件で検証している。シネフリン追加が血圧や心拍を明確に上乗せしなかった、という結果だった。つまり、エビデンスは完全に一方向ではない。
それでも私は避ける。理由は簡単だ。現実の使用状況は、脂肪燃焼サプリ + カフェイン + 運動 だからだ。安静時3時間の試験で問題が出なかったことは、実運用の安全保証にはならない。
「まだ完全証明ではないから自由に積んでいい」という態度は、この領域では危ない。
今回あえて外したもの
ここも明確にしておく。
カルシウム × 鉄 や 鉄 × 亜鉛 は、今回は入れていない。
2005年のレビューは、鉄と亜鉛の共同投与を検証している。効率が落ちることはあっても、joint supplementation を強く避ける証拠はないと整理されていた。
また、2014年のRCTでは、カルシウム補充1か月で鉄バイオアベイラビリティの有意低下は見えなかった。
要するに、これらは 絶対NGではなく、設計やタイミングの問題 だ。そこは別記事で扱えばいい。
今回は、そこまで広げない。
三島の結論
サプリの飲み合わせ記事は、広げるほど雑になる。
だから私は、まずこの4つだけを止める。
- 高用量亜鉛を、銅なしで長期
- レチノール系ビタミンAの重複
- 高用量ビタミンD + 高用量カルシウムの自己流スタック
- シネフリン系脂肪燃焼サプリ + 高カフェイン
逆に言えば、ここに入らないものは、いきなり「絶対NG」と言うべきではない。カルシウム × 鉄 のように、時間をずらせば済む話まで全部危険扱いすると、相互作用の議論そのものが信用を失う。
論文原理主義者としては、止めるべきものは少数でいい。その代わり、止める時は明確に止める。
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