アシュワガンダのコルチゾール抑制、KSM-66とSensorilは何が違うのか

アシュワガンダのコルチゾール抑制、KSM-66とSensorilは何が違うのか

アシュワガンダは「コルチゾールを下げるサプリ」として売られている。

ここまでは、だいたい合っている。

ただ、その次に来る

  • KSM-66が最強
  • Sensorilの方が強い
  • 根のみの方が自然
  • 葉入りの方が低用量で効く

みたいな話になると、かなり雑になる。

PubMedのRCTを追うと、言えるのはもっと地味だ。

KSM-66にもSensorilにもコルチゾール低下の臨床データはある。だが、両者を真正面から比べたRCTはない。

2026年時点の結論は、まずここだ。

まず結論

先に要点だけ置く。

論点現時点の結論
アシュワガンダはコルチゾールを下げるか短期RCTとメタ解析では、下げるシグナルあり
KSM-66とSensoril、どちらが上か直接比較RCTがないので未確定
KSM-66の特徴根のみ、代表用量は600mg/日
Sensorilの特徴根+葉125-500mg/日の低用量RCTあり
実務的な読み方優劣より、抽出部位と用量設計の違いとして読む

KSM-66の代表データ

いちばん有名なのは、Chandrasekhar et al., 2012だ。

慢性ストレスのある成人64人を対象に、KSM-66を300mgずつ1日2回、60日投与したRCTである。

この試験では、

  • PSS(自覚的ストレス尺度)
  • GHQ-28(精神健康質問票)
  • DASS(うつ・不安・ストレス尺度)
  • 血清コルチゾール

を見ている。

結果はかなりきれいで、本文ではAshwagandha群でコルチゾール27.9%低下、プラセボ群7.9%低下と整理されている。統計的にも有意で、P=0.0006 だった。

ここで重要なのは、これは単なる「アシュワガンダ一般」ではなく、KSM-66という根のみ抽出物の代表RCTだという点だ。

論文本文では、

  • KSM-66
  • 根のみ
  • ウィタノリド(有効成分) 5%以上

と明記されている。

つまり、KSM-66の「根だけで組んだ設計」は、少なくともストレスとコルチゾール文脈ではPubMed上の足場がある。

KSM-66は睡眠寄りの文脈でも使われている

もう1本、Langade et al., 2019も見ておく価値がある。

これは不眠と不安のある被験者に、KSM-66 300mgを1日2回、10週間投与したRCTだ。

この論文の主役はコルチゾールではなく、

  • 睡眠効率
  • 睡眠潜時
  • 睡眠の質
  • 不安スコア

の改善である。

だから「KSM-66はコルチゾールに強い」と断定する材料を増やす論文ではない。

ただ、KSM-66側の文献はストレスだけでなく睡眠・不安へ横展開しやすいという意味では、製品としての文脈が作りやすい。

Sensorilの代表データ

一方、Sensoril側でいま一番わかりやすいのは、Pandit et al., 2024だ。

この試験は、慢性ストレスのある成人を対象に、Sensorilの根+葉抽出物を125mg、250mg、500mgで8週間比べている。

ここがKSM-66とかなり違う。

  • 根+葉
  • 低用量から設計
  • 用量比較デザイン

という構造になっている。

8週時点の血漿コルチゾールは、

8週時点の血漿コルチゾール
プラセボ12.34 ± 4.73 μg/dL
Sensoril 125mg8.61 ± 3.32
Sensoril 250mg9.65 ± 3.77
Sensoril 500mg7.90 ± 2.51

で、全用量でプラセボより低い

PSSも8週で

8週PSS
プラセボ31.50 ± 5.76
Sensoril 125mg30.04 ± 4.06
Sensoril 250mg26.27 ± 3.98
Sensoril 500mg23.73 ± 4.67

と、250mg以上で差がはっきりしてくる。

この論文から言えるのは、Sensorilは125mgでも成立可能だが、主観スコアは250-500mgの方が見栄えがいいということだ。

では、どっちが強いのか

ここで多くの記事は雑に飛ぶ。

だが、飛べない。

理由は単純で、同じ試験の中でKSM-66とSensorilをぶつけたRCTがないからだ。

比較しようとしても、

  • 被験者が違う
  • 用量が違う
  • 期間が違う
  • 抽出部位が違う
  • 評価項目が違う

ので、横並びにして「こっちが勝ち」とは言えない。

強いて整理すると、

  • KSM-66: 根のみ、600mg/日前後、古典的ストレスRCTが代表
  • Sensoril: 根+葉、125-500mg/日、低用量でも回る設計のRCTが代表

という違いだ。

つまりこれは、強さの比較というより設計思想の比較に近い。

メタ解析はどう読めばいいか

Ng et al., 2024 のメタ解析では、アシュワガンダ全体として

  • PSS(自覚的ストレス尺度): MD(平均差) = -4.72
  • ハミルトン不安尺度: MD = -2.19
  • 血清コルチゾール: MD = -2.58

と、全体ではポジティブだ。

一方で、2025年のメタ解析は、コルチゾール低下は残るが、PSSは有意でないとしている。

このズレは大事だ。

要するに、アシュワガンダは

  • 生体マーカーとしてのコルチゾール低下

は比較的残りやすいが、

  • 自覚的なストレスの改善

は試験条件や集団でぶれやすい、ということだ。

だから「飲めば確実に楽になる」とまでは言い切れない。

実務的にはどう選ぶべきか

ここは誇張せず、こう整理するのが一番まっとうだと思う。

KSM-66が向く読み方

  • 根のみの設計に納得感がある
  • 代表的な用量である600mg/日をそのままなぞりたい
  • ストレスだけでなく、不安や睡眠の文脈も見たい

Sensorilが向く読み方

  • 125-250mg/日の低用量運用をしたい
  • 根+葉の抽出物でも気にしない
  • 2024年の用量比較RCTを重視したい

ただし、どちらにしても長く飲み続ける話とは別だ。

この点は、以前書いた

とセットで読むべきだと思う。

短期RCTでコルチゾールが下がることと、長期に飲み続けて安全かは、同じ話ではない。

私ならこう読む

2026年時点で、PubMedベースの結論はかなり地味だ。

KSM-66は、根のみ600mg/日の代表選手。Sensorilは、根+葉125-500mg/日の低用量代表。

ここまでは言える。

だが、

  • KSM-66が決定的に上
  • Sensorilの方が強い
  • 葉が入るから危険
  • 根だけだから安全

みたいな話は、今あるRCTからは出てこない。

だから、現実的な結論はこうなる。

コルチゾール抑制の根拠は両者にある。だが、製剤間の優劣はまだ未決着。選ぶなら、抽出部位と用量設計の違いで選ぶ。

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製品例

KSM-66系

Sensoril系

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三島 誠一

論文原理主義者。PubMed、Examine.comを週末に巡回するのが娯楽。メタアナリシス・RCTまで読み、成分フォームと生体利用率を重視する。

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