アピゲニンとは?カモミールが睡眠に良い理由を成分から考えてみた

アピゲニンとは?カモミールが睡眠に良い理由を成分から考えてみた

前回、カモミールティーを使った睡眠習慣について書いた。

カモミールと睡眠の関係については、メタアナリシスで睡眠の質改善が報告されている。でも書きながら、ひとつ気になることがあった。

「なぜカモミールが睡眠に効くのか?」

調べてみたら、答えはアピゲニンというフラボノイドにあった。今日はその話をしてみようと思う。

アピゲニンとは

アピゲニンは、カモミールに含まれる天然のフラボノイド。セロリやパセリにも含まれているけど、カモミールには特に多く含まれている。

化学的には「5,7,4’-トリヒドロキシフラボン」という名前で、植物が作り出す黄色い色素の一種。難しい名前だけど、要するに植物由来の天然成分ということ。

GABA-A受容体への作用

アピゲニンが注目される理由は、脳内のGABA-A受容体に作用することが分かっているから。

GABA(γ-アミノ酪酸)は、脳内で「落ち着け」という信号を送る神経伝達物質。不安や興奮を抑えて、リラックスした状態を作る役割がある。

1995年の研究(Viola et al.)で、アピゲニンがGABA-A受容体の「ベンゾジアゼピン結合部位」に結合することが発見された。

ベンゾジアゼピンというのは、睡眠薬や抗不安薬として使われる薬のカテゴリー。つまり、アピゲニンは睡眠薬と同じ場所に作用するということになる。

睡眠薬との違い

じゃあアピゲニンは睡眠薬と同じなのか?というと、そうではない。

同じ研究で、アピゲニンには以下の特徴があることが分かっている:

  • 抗不安作用: マウスの行動試験で確認
  • 鎮静・筋弛緩作用なし(通常用量)
  • 抗けいれん作用なし
  • 依存性のリスクが低い

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、効果が強い反面、筋肉が緩んだり、依存性があったりする。アピゲニンは同じ場所に作用するけど、作用は穏やか。

これが「カモミールティーを飲んでも眠くなりすぎない」理由なのかもしれない。

カモミールティーからどれくらい摂取できる?

じゃあ、カモミールティーを飲むとどれくらいアピゲニンが摂取できるのか。

2022年のヒトでの薬物動態研究(Borges et al.)によると、カモミールティーからのアピゲニン吸収率は約34%。これはパセリ(約11%)と比べてかなり高い。

カモミールティー1杯に含まれるアピゲニンは、おおよそ3〜5mg程度と言われている。サプリメントが1粒50mgなのと比べると少ないけど、毎日続けるならこれで十分という考え方もある。

私が毎晩飲んでいるYogi Teaのカモミールも、この範囲内だと思う。

アピゲニンサプリという選択肢

カモミールティーだけでなく、アピゲニン単体のサプリメントも存在する。

サプリメントの利点は:

  • 含有量が明確(50mg/粒など)
  • お茶を淹れる手間がない
  • カフェインフリーを気にしなくていい(カモミールもカフェインフリーだけど)

一方で、私が思う懸念点もある:

  • カモミールの他の成分を摂取できない
  • 習慣としての楽しさがない
  • 価格がやや高め
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睡眠と老化、両方に関係?

2024年の最新レビュー(Kramer & Johnson)では、アピゲニンが睡眠だけでなく老化にも関係している可能性が示唆されている。

アピゲニンはCD38という酵素を阻害して、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)のレベルを上げる効果があるそう。NAD+は加齢とともに減少する物質で、エネルギー代謝に重要な役割を果たしている。

また、同じレビューでは、大規模なコホート調査で食事からのアピゲニン摂取量と睡眠の質が正の相関を示したという報告も紹介されている。

これはまだ相関関係であって因果関係ではないけど、日常的にアピゲニンを摂取している人は睡眠の質が良い傾向にある、ということ。

私の結論:カモミールティーで十分

エビデンスを調べてみて、カモミールティーを続けている理由がより明確になった。

アピゲニンがGABA-A受容体に作用するという科学的な説明があって、カモミールティーからの吸収率は34%と比較的良好。そして何より、毎晩の習慣として続けられる

サプリメントも気になるけど、今の私にはカモミールティーで十分かな。お湯を沸かして、ティーバッグを入れて、香りを楽しみながら飲む時間が好きだから。

もちろん、サプリメントの方が効率的という考え方もある。でも「続けられること」を重視する私にとっては、この習慣自体に価値がある。

まとめ

カモミールが睡眠に良いと言われる理由は、アピゲニンというフラボノイドにあった。

  • アピゲニンはGABA-A受容体のベンゾジアゼピン部位に作用
  • 睡眠薬と同じ場所に作用するが、作用は穏やか
  • カモミールティーからの吸収率は約34%
  • サプリメントという選択肢もある

「なぜ効くのか」を知ることで、毎晩のカモミールティーがより意味のある習慣に感じられるようになった。

調べた上で続ける。それが私のスタンス。

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