クレアチンの種類はどれを選ぶべきか?ローディングの必要性を検証

クレアチンの種類はどれを選ぶべきか?ローディングの必要性を検証

「クレアチンHClの方が吸収が良い」「ローディングは必須」。

サプリメント業界でよく聞く主張だ。

しかし、効果サイズ原理主義者として断言する。

これらは根拠が薄い。モノハイドレート3-5g/日で十分。

結論から言う

種類・プロトコル効果サイズコスパ評価
モノハイドレート3-5g/日ES(Effect Size、効果サイズ) 0.43★★★★★★★★★★
ローディング(20g×7日→5g維持)初期飽和速い★★☆☆☆★★★☆☆
クレアチンHClES 0.26(劣る)★☆☆☆☆★★☆☆☆
エチルエステル無効☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

モノハイドレート3-5g/日が最もコスパが良く、効果サイズも最大。

クレアチンモノハイドレートの効果サイズ

まず、クレアチンモノハイドレートの効果を確認する。

メタアナリシス(23研究、487名)

2024年のメタアナリシスによると:

アウトカム効果サイズ
上半身筋力WMD(Weighted Mean Difference、加重平均差) = +4.43 kg(p < 0.001)
筋力全般SMD(Standardized Mean Difference、標準化平均差) = 0.43(95% CI(Confidence Interval、信頼区間): 0.25-0.61)
除脂肪体重+1.14 kg
体脂肪率-0.88%

SMD 0.43は「中程度」の効果サイズ。絶対値で+4.43 kgの筋力増加は十分大きい。

685件のRCT、12,800名のエビデンス

ISSNのポジションスタンドによると、クレアチンに関するRCT(Randomized Controlled Trial、ランダム化比較試験)は685件以上、参加者は12,800名以上

サプリメントの中で最もエビデンスが多い

これが「効果サイズA」と言われる理由だ。

クレアチンの種類: モノハイドレート vs 他

ここからが本題。クレアチンにはいくつかの種類がある。

主な種類

  1. クレアチンモノハイドレート - 標準
  2. クレアチンHCl(塩酸塩) - 「吸収が良い」と主張
  3. クレアチンエチルエステル - 「バイオアベイラビリティが高い」と主張
  4. バッファードクレアチン - 「胃で安定」と主張
  5. クレアルカリン - 「pH調整済み」と主張

業界は「モノハイドレートより優れている」と宣伝する。

しかしエビデンスは?

クレアチンHClの効果サイズ

2021年のRCT(12週間、30名)を見てみよう。

クレアチンHCl 2.5g/日:

  • 筋力: プラセボより有意に増加
  • 効果サイズ: ES 0.26-0.31
  • 除脂肪体重: 有意差なし

モノハイドレートの ES 0.43 と比較すると:

HCl ES 0.26 vs モノハイドレート ES 0.43

モノハイドレートの方が60%以上効果サイズが大きい。

HClの「吸収が良い」という主張は、効果サイズには反映されていない。

クレアチンエチルエステルは無効

2009年のRCT(6週間、30名)は衝撃的な結果を示した。

クレアチンエチルエステル 5.7g/日:

  • 筋力: プラセボと同等(有意差なし)
  • 除脂肪体重: プラセボと同等
  • 血清クレアチン: プラセボより低い

研究者らの結論:

“Creatine ethyl ester was not as effective as creatine monohydrate for improving serum and muscle creatine levels or for improving body composition, muscle mass, strength, and power”

エチルエステルは無効。

バッファードクレアチンも優位性なし

2012年のRCT(28日間、36名)によると:

バッファードクレアチン vs モノハイドレート:

  • 筋力: 両群で同等
  • 除脂肪体重: 両群で同等
  • 筋クレアチン濃度: 両群で同等

研究者らの結論:

“There were no statistically significant differences in anaerobic performance, body composition, or muscle creatine content between groups”

バッファードクレアチンの優位性はない。

ローディングプロトコルは必要か?

次に、ローディングプロトコルを検証する。

ローディングとは?

ローディングプロトコル:

  • 最初の5-7日間: 20g/日(4回×5g)
  • その後: 3-5g/日(維持量)

目的: 筋クレアチン濃度を早期に飽和させる。

ローディング vs 非ローディング

2003年のレビューによると:

ローディング(20g/日×5-7日):

  • 筋クレアチン濃度: 5-7日で飽和(+20-30%)
  • 体重増加: 速い(水分貯留)

非ローディング(3g/日):

  • 筋クレアチン濃度: 28日で飽和(+20-30%)
  • 体重増加: 緩やか

飽和レベルは同じ。違いは「速度」だけ。

長期的な効果は同等

2017年のメタアナリシスで、ローディングの有無による効果サイズの違いを検証した。

メタ回帰分析の結果:

“The meta-regression showed no link with characteristics of population or supplementation, demonstrating the efficacy of creatine independently of all listed conditions”

ローディングの有無は効果サイズに影響しない。

8週間以上のトレーニングでは、ローディング群も非ローディング群も同じ効果サイズだ。

ローディングのデメリット

コスト:

  • ローディング: 20g×7日 = 140g(約700円)
  • 非ローディング: 3g×28日 = 84g(約420円)
  • 差: 56g(約280円)

副作用:

  • 急激な体重増加(水分貯留)
  • 胃腸不快感(一部の人)
  • トイレが近くなる

結論: ローディングは不要。3-5g/日で十分。

最適なプロトコル

効果サイズとコスパの観点から、最適なプロトコルを示す。

推奨プロトコル

種類: クレアチンモノハイドレート 用量: 3-5g/日 タイミング: 運動後(または任意の時間) 期間: 8週間以上

理由:

  • 効果サイズ最大: ES 0.43(他の種類より優位)
  • コスパ最良: 1kg = 約5,000円 = 200-330日分
  • エビデンス最多: 685件のRCT、12,800名
  • 安全性確立: 臨床的に重大な有害事象なし

タイミングは重要か?

2013年のメタアナリシスによると:

運動後 vs 運動前:

  • 除脂肪体重: 運動後がわずかに優位(ES 0.09の差)
  • 筋力: 有意差なし

結論: タイミングの影響は小さい。一貫性の方が重要。

毎日同じタイミングで摂取する方が、継続しやすく効果的だ。

飲み合わせは?

推奨:

  • 炭水化物と一緒に摂取するとクレアチン取り込み増加(インスリン効果)
  • プロテインと一緒でも可
  • ブラックコーヒーとは避ける(カフェインがクレアチン効果を減弱させる可能性)

他の種類を選ぶべき人はいるか?

唯一の例外は胃腸不快感がある場合だ。

モノハイドレートで胃腸不快感がある人:

  • クレアチンHCl 2.5g/日を試す価値はある
  • 効果サイズは劣る(ES 0.26 vs 0.43)が、継続できなければ意味がない
  • ただし、モノハイドレートを食後に摂取すれば胃腸不快感は減る

その他の種類(エチルエステル、バッファード、クレアルカリン):

  • 優位性のエビデンスなし
  • 価格が高い
  • 推奨しない

竹内の結論

クレアチンモノハイドレート3-5g/日が最適。

理由:

  1. 効果サイズ最大: SMD 0.43、筋力+4.43kg
  2. エビデンス最多: 685件のRCT、12,800名
  3. コスパ最良: 他の種類の1/2-1/3の価格
  4. ローディング不要: 28日で飽和、長期的には同等
  5. 安全性確立: 臨床的に重大な有害事象なし

HCl、エチルエステル、バッファードは優位性なし。価格が高いだけ。

ローディングは飽和を早めるが、8週間以上では効果サイズに差なし。不要。

効果サイズとコスパの観点から、モノハイドレート3-5g/日を毎日継続が最も合理的だ。

「新しい種類」「高度なプロトコル」に惑わされるな。

シンプルなモノハイドレート3-5g/日で十分な効果サイズが得られる。

参考文献

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竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

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