グラスフェッド vs 通常プロテイン、効果サイズに差はあるか?RCTの結論

グラスフェッド vs 通常プロテイン、効果サイズに差はあるか?RCTの結論

「グラスフェッドの方が品質が良い」

プロテインを選ぶとき、こう言われることがある。放牧飼育の牛から作られたホエイは、栄養価が高いと。

俺も気になっていた。本当にそうなのか?

効果サイズで検証してみた。

結論から言うと、グラスフェッドと通常ホエイに筋肥大・筋力の効果サイズ差はない

グラスフェッドの「売り文句」

まず、グラスフェッドプロテインの主張を整理しておく。

  • オメガ3脂肪酸が多い
  • 共役リノール酸(CLA)が多い
  • ビタミンA、E、カロテノイドが多い
  • ホルモン・抗生物質が少ない(認証によっては)

確かに、グラスフェッド牛乳の研究(PMC)によると、放牧飼育の牛乳は脂肪酸プロファイルが優れている。

でも、これがプロテインパウダーに反映されるかは別の話だ。

RCTの結果:有意差なし

2023年のRCTが、グラスフェッドホエイと通常ホエイを直接比較している。

対象は39名のレジスタンストレーニング経験者。エキセントリックスクワットプロトコルで筋損傷を誘発し、24・48・72時間後の回復を測定。

測定項目:

  • 遅発性筋肉痛(DOMS)
  • 尿中タイチン
  • 最大等尺性随意収縮
  • 大腿四頭筋ツイッチ力
  • カウンタームーブメントジャンプ
  • バックスクワット速度

結果はこうだ。

“Between-condition comparisons did not reveal any significant differences (p ≤ 0.05) in markers of exercise-induced muscle damage”

すべての指標で有意差なし

グラスフェッドでも通常ホエイでも、筋損傷の回復に差がなかった。

アミノ酸プロファイルは同じ

なぜ差がないのか。理由はシンプルだ。

複数の科学レビューによると:

“The amino acid composition does not significantly change based on the cow’s diet.”

牛の餌が変わっても、アミノ酸プロファイルはほぼ同一

プロテインパウダーで重要なのはアミノ酸だ。脂肪酸やビタミンではない。

グラスフェッドでも通常飼育でも、ロイシン、イソロイシン、バリンなどのBCAAや必須アミノ酸の比率は変わらない。

脂質の優位性は加工で消失

「グラスフェッドはオメガ3やCLAが多い」という主張について。

確かに原乳では差がある。でも、ホエイプロテインに加工される段階で、その優位性はほぼ消失する。

Legion Athleticsの分析によると:

  • ホエイコンセントレート1スクープ: 約3gの脂質
  • そのうち多価不飽和脂肪酸(オメガ3含む): 5%未満
  • グラスフェッドホエイ1スクープのCLA: 約0.06g
  • CLA補給の一般的な摂取量: 3g以上

グラスフェッドホエイで摂れるCLAは、CLA効果を期待するには50分の1以下

さらに、WPI(アイソレート)は脂質をほぼ完全に除去するから、差はほぼゼロになる。

価格は1.5〜2倍

効果サイズに差がないのに、価格は1.5〜2倍高い。

項目通常ホエイグラスフェッドホエイ
価格基準約1.5〜2倍
アミノ酸同等同等
筋肥大効果同等同等
筋損傷回復同等(RCT)同等(RCT)

同じ金額を出すなら、通常ホエイをより多く買った方がタンパク質総摂取量を増やせる

前回の記事で書いたように、総タンパク質摂取量の方がプロテインの種類より重要だ。

グラスフェッドを選ぶ理由があるとしたら

グラスフェッドが完全に無意味とは言わない。

グラスフェッドを選ぶ理由

  • 動物福祉への配慮: 放牧飼育を支持したい
  • 環境への意識: 持続可能な農業を支援したい
  • ホルモン・抗生物質への懸念: 認証プログラムによっては制限あり

これらは個人の価値観の問題であって、効果サイズの問題ではない

筋肉をつけたいだけなら、グラスフェッドにプレミアムを払う理由はない。

俺の結論

「グラスフェッドの方が品質が良い」はマーケティングだ。

RCTで検証した結果、筋損傷・回復マーカーに有意差なし。アミノ酸プロファイルは同一。脂質の優位性も加工で消失。

効果サイズが同じなら、安い方を選ぶ。それが俺の判断基準だ。

俺は通常のホエイプロテインを使い続ける。浮いた金で、もっとタンパク質を買う。

まとめ

  • RCT(n=39)でグラスフェッドと通常ホエイに有意差なし
  • アミノ酸プロファイルは同一(牛の餌は影響しない)
  • 脂質の優位性は加工で消失(特にWPIでは無意味)
  • 価格は1.5〜2倍高い
  • 効果サイズが同じなら安い方を選ぶのが合理的

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竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

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