WPCとWPIで効果サイズは変わらない。メタアナリシスが示した意外な事実

WPCとWPIで効果サイズは変わらない。メタアナリシスが示した意外な事実

「WPI(ホエイプロテインアイソレート)の方がWPC(ホエイプロテインコンセントレート)より優れている」

プロテインを買うとき、こう言われることが多い。タンパク質含有率が高く、脂質と乳糖が少ないから。

俺も最初はそう思っていた。でも、本当にそうなのか?

効果サイズで検証してみた。

結論から言うと、WPCとWPIで筋肥大・筋力への効果サイズに有意差はない

WPCとWPIの違い

まず基本を確認しておく。

項目WPC(コンセントレート)WPI(アイソレート)
タンパク質含有率70-80%90%以上
脂質やや多いほぼゼロ
乳糖少量ありほぼゼロ
吸収速度速いやや速い
価格安い高い

WPIは追加の精製プロセスを経ているから、タンパク質含有率が高く、脂質と乳糖が少ない。その分、価格も高い。

でも、筋肉に効くかどうかは別の話だ。

メタアナリシスの結果

2019年のメタアナリシスが、WPC、WPI、WPH(加水分解ホエイ)を比較している。

対象は8つのRCT(ランダム化比較試験)、288名の参加者。

結果はこうだ。

アウトカムWPCWPIWPH
除脂肪体重(FFM)有意差なし有意差なしデータ不足
体脂肪(FM(脂肪量))WMD(加重平均差) = -0.63 ✅有意差なしデータ不足

筋肉が増えるかどうかに、WPCとWPIで差がない。

むしろ体脂肪減少はWPCでのみ有意だった。WPCに含まれる追加の栄養素(免疫グロブリン、成長因子)が関係しているかもしれない。

直接比較のRCT

2020年のRCTも興味深い。

31名を3群に分けて6週間の並行トレーニングを実施。

  • プラセボ群:タンパク質1.2 g/kg/日
  • WPI群:タンパク質3.5 g/kg/日
  • WPC群:タンパク質3.5 g/kg/日

結果は、WPIもWPCも、パフォーマンス・心肺機能・筋力適応を増強しなかった

タンパク質摂取量が同じなら、WPCとWPIで差がない。体はアミノ酸を区別しない。

なぜ差がないのか

理由はシンプルだ。

アミノ酸プロファイルがほぼ同一だから。

WPCもWPIも、元は同じホエイ(乳清)から作られている。必須アミノ酸、BCAA(分岐鎖アミノ酸)の比率は変わらない。

タンパク質含有率が90%でも80%でも、同じ量のタンパク質を摂れば、体に入るアミノ酸は同じ。

WPCで25gのタンパク質を摂るために31gのパウダーが必要なら、WPIなら28gで済む。その差は3g。たったそれだけだ。

WPIを選ぶべき人

WPIが適しているのは、こんな人だ。

  • 乳糖不耐症:WPIは乳糖がほぼゼロ。WPCでお腹を壊す人には有効
  • 極端なローカロリーダイエット中:脂質・糖質を1gでも削りたい場合
  • 消化器系が敏感:WPIの方が消化しやすい人もいる

これに当てはまらないなら、WPCで十分だ。

コスパで考える

効果サイズが同じなら、次に見るのはコスパだ。

iHerbで比較してみると、WPCはWPIより2-3割安い。同じ金額を出すなら、WPCを多く買った方がタンパク質の総摂取量を増やせる

前回の記事で書いたように、プロテインの効果サイズは0.22で控えめ。しかも1.62 g/kg/日を超えると追加効果がない。

つまり、プロテインのグレードを上げるより、摂取量を確保する方が重要

俺の結論

「WPIの方が優れている」はマーケティングだ。

エビデンスを見ると、WPCとWPIに筋肥大・筋力の効果サイズ差はない。

俺は乳糖を消化できるから、WPCを使っている。同じ金額でより多くのタンパク質を摂れるから。

効果サイズが同じなら、安い方を選ぶ。それが俺の判断基準だ。

まとめ

  • WPCとWPIで筋肥大・筋力への効果サイズに有意差なし
  • アミノ酸プロファイルはほぼ同一
  • 乳糖不耐症でなければWPCで十分
  • 同じ金額ならWPCを多く買う方がコスパ良い
  • プロテインのグレードより摂取量が重要

今回紹介したサプリ

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竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

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