タンパク質の最適摂取量は体重1kgあたり何g?効果サイズで検証した結論

タンパク質の最適摂取量は体重1kgあたり何g?効果サイズで検証した結論

「タンパク質は体重1kgあたり1.6gで十分」

この数字、どこから来たか知ってる?

2018年の大規模メタアナリシスだ。でも俺はこの数字を鵜呑みにしていない。

効果サイズで検証してみたら、**1.6 g/kgは「最適」ではなく「最低ライン」**だと分かった。

1.6 g/kgの根拠となったメタアナリシス

Morton et al.(2018)が、タンパク質摂取と筋肥大の関係を49研究、1,863名で分析している。

結果がこうだ。

アウトカム効果95% CI
1RM(筋力)+2.49 kg(約9%改善)0.64-4.33
除脂肪体重(FFM)+0.30 kg0.09-0.52
筋繊維CSA+310 µm²51-570

そして「ブレイクポイント」として1.62 g/kg/日が示された。これを超えてもFFM増加は頭打ちになると。

これが「1.6-2.2 g/kgで十分」という推奨の根拠だ。

このデータの問題点

ここからが本題。このブレイクポイント、統計的に有意ではない

p = 0.079。有意水準0.05を超えている。

さらに、95%信頼区間は1.03-2.20 g/kg/日。この範囲は研究で調査されたほぼ全てのタンパク質摂取量をカバーしている。

つまり、「1.6 g/kgで十分」という主張は、統計的に確定していない数字に基づいている

効果サイズは「小さい」

Nunes et al.(2022)の更新版メタアナリシスでは:

  • LBM増加: SMD = 0.22(95% CI: 0.14-0.30)
  • 下半身筋力: SMD = 0.40

効果サイズの基準を確認しておく。

  • 0.2 = 小さい効果
  • 0.5 = 中程度の効果
  • 0.8 = 大きい効果

SMD 0.22は**「小さい効果」**だ。

プロテイン補給で得られる追加のFFMは約0.30 kg。これは「ないよりマシ」レベル。

タンパク質が不要という意味ではない。十分に摂らないと筋肥大は起こらない。ただ、「プロテインを飲めば筋肉がつく」という期待は過大だということ。

トレーニング経験者は別の話

Morton et al.のメタアナリシス、対象者のほとんどがトレーニング未経験者

Stronger by Scienceの分析によると:

“Research on resistance-trained lifters consistently shows that consuming more than 1.6 g/kg of protein can lead to greater FFM gains.”

トレーニング経験者では、1.6 g/kgを超えても効果が続く可能性がある。

理由:

  • 経験者は筋タンパク質合成の効率が上がっている
  • より多くのタンパク質を筋肉に回せる
  • 未経験者のデータは当てはまらない

カロリー制限中は確実に多く必要

ISSNのポジションスタンドでは、状況別の推奨値が示されている。

状況推奨摂取量
筋肥大・筋力向上1.6-2.2 g/kg/日
カロリー制限中(脂肪減量期)2.3-3.1 g/kg/日
高度なトレーニー~2.0+ g/kg/日

カロリー制限中は筋肉の異化が進みやすい。それを防ぐには多めのタンパク質が必要

脂肪を落としながら筋肉を維持したいなら、2.3 g/kg以上が推奨される。

1食あたりの上限は?

「1食で20-30gが上限」という話もある。

確かに、急性の筋タンパク質合成(MPS)は20-40gで頭打ちになる傾向がある。

しかし最新の研究では、吸収速度が遅ければ100gでも有効に使われる可能性が示されている。

結論: 1食の量よりも、1日の総摂取量の方が重要。細かく分けても、まとめて摂っても、総量が同じなら大差ない。

俺の摂取量

俺は体重75kg。1日のタンパク質摂取量は約180g、つまり2.4 g/kg

「1.6で十分」と言われても、効果サイズのブレイクポイントが統計的に有意ではない以上、余裕を持って摂る方が合理的だと考えている。

内訳はこうだ。

  • : プロテイン30g + 卵2個(約14g)
  • : 鶏胸肉200g(約44g)+ ご飯
  • : 魚or肉(約40g)+ プロテイン30g
  • 間食: ギリシャヨーグルト(約10g)

コストはかかるが、筋肉を優先するなら妥協しない。

結論:1.6 g/kgは「最低ライン」

「体重1kgあたり1.6gで十分」は過度な単純化

効果サイズで見ると:

  • プロテイン補給の効果はSMD 0.22(小さい)
  • 1.6 g/kgのブレイクポイントはp = 0.079で有意ではない
  • 信頼区間は1.03-2.20と広い

現実的な推奨:

あなたの状況推奨摂取量
一般的なトレーニー1.6-2.0 g/kg/日
トレーニング経験者2.0-2.2 g/kg/日
脂肪減量期2.3-3.1 g/kg/日

1.6 g/kgは「最適」ではなく「最低ライン」。余裕があるなら、2.0 g/kg以上を目指す方が確実だ。

まとめ

  • タンパク質補給の効果サイズはSMD 0.22(小さい)
  • 1.6 g/kgのブレイクポイントは統計的に有意ではない(p=0.079)
  • 信頼区間は1.03-2.20 g/kgと広い
  • トレーニング経験者は2.0 g/kg以上が推奨
  • 脂肪減量期は2.3-3.1 g/kg必要
  • 1.6 g/kgは「最適」ではなく**「最低ライン」**

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竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

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