在宅ワークと家族の健康、柔軟な働き方のメリットとリスクをUK研究から読み解く
「柔軟に働ける」はありがたいけど
外資IT企業でフルタイム勤務、週2日出社・週3日在宅のハイブリッド勤務を続けて4年になる。
5歳と3歳の子供がいるワーママにとって、柔軟な働き方は本当にありがたい。
でも、「ありがたい」だけで終わらせていいのか。
論文を読んでみたら、メリットだけでなく、見過ごせないリスクも見えてきた。
UK縦断研究が明らかにしたこと
2025年のJ Epidemiol Community Healthに掲載された研究では、UKの世帯縦断調査(2010-2020年)を使って、「柔軟な働き方を要求する権利」政策の影響を分析している。
2014年、UKでは26週間以上の継続雇用者全員に柔軟な働き方を要求する権利が拡大された。
この政策変更の前後で、何が変わったのか。
女性に見られた効果
| 効果 | 結果 |
|---|---|
| 時短勤務の利用 | 有意に増加(時間とともに効果増大) |
| 心理的苦痛 | 減少 |
| 生活満足度 | 改善 |
女性は時短勤務を利用するようになり、心理的苦痛が減り、生活満足度が上がった。
これは直感的にも納得できる。家族のケアに時間を使えるようになれば、ストレスは減る。
男性に見られた効果
一方、男性には同じ効果が見られなかった。
| 効果 | 結果 |
|---|---|
| 時短勤務の利用 | 増加なし |
| フレックスタイム利用 | 増加なし |
| テレワーク利用 | 増加なし |
ジェンダー中立な政策でも、利用するのは女性だけ。
これが何を意味するか。研究者は「女性をパートタイム労働に押しやり、労働参加の男女不平等を悪化させる可能性がある」と警告している。
親のストレスは子供に伝わる
もう一つ、見過ごせないデータがある。
2021年のSoc Psychiatry Psychiatr Epidemiolに掲載されたオーストラリアの研究では、親のワークファミリーコンフリクト(WFC)が子供のメンタルヘルスに与える影響を追跡している。
親のWFCと子供のメンタルヘルス
研究では、母親1,903人、父親1,584人を5ウェーブにわたって追跡。
結果、親の累積的なWFCは、子供のメンタルヘルスに有意に関連していた。
そして、この効果の66%は以下の要因で説明された:
- 親の心理的苦痛
- 夫婦満足度
- 養育のイライラ感
つまり、こういうことだ。
仕事と家庭の両立に苦しむ → 親がストレスを抱える → 夫婦関係が悪化する → 子供への対応がイライラする → 子供のメンタルヘルスに影響
私たちが思っている以上に、親のストレスは子供に伝わっている。
日本人女性の仕事家庭葛藤
2025年のJ Occup Healthに掲載された日本の研究では、働く日本人女性19,652人を対象に、仕事家庭葛藤とメンタルヘルスの関連を調べている。
仕事家庭葛藤とメンタルヘルス
| 葛藤の種類 | 心理的苦痛(OR) | 精神疾患(OR) |
|---|---|---|
| 仕事→家庭葛藤(重度) | 4.94 | 1.76 |
| 家庭→仕事葛藤(重度) | 3.44 | 1.69 |
重度の仕事→家庭葛藤がある女性は、心理的苦痛のリスクが約5倍。
リスク要因として挙げられているのは:
- 長時間労働
- 介護責任
研究者は「柔軟な働き方の整備」と「介護支援の充実」を提言している。
テレワークのメリットとデメリット
2022年のInt J Environ Res Public Healthに掲載されたレビューでは、テレワークが健康に与える影響を整理している。
テレワークのメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 通勤ストレス軽減 | 満員電車や渋滞からの解放 |
| 仕事の自律性向上 | 自分のペースで働ける |
| 柔軟なスケジュール | 家族の予定に合わせやすい |
これは実感として分かる。在宅の日は、子供の急な発熱にも対応しやすい。
テレワークのデメリット
| デメリット | 内容 |
|---|---|
| 社会的孤立 | 「誰とも話していない」日が続く |
| 境界の曖昧化 | 仕事と私生活の切り替えが難しい |
| 過労リスク | 「もう少しだけ」が積み重なる |
これも実感がある。特に「境界の曖昧化」は要注意だと思う。
2023年のBMC Public Healthに掲載されたカナダの研究では、テレワーク群で「COVID-19以降のワークファミリーバランスの困難増加」と「不規則なスケジュール」が、親の抑うつ症状を介して子供のメンタルヘルスへの懸念と関連していた。
仕事と家庭の境界が曖昧になると、親のストレスが増え、それが子供に影響する。
私がハイブリッド勤務で工夫していること
論文を読んで、改めて「境界を守る」ことの大事さを感じた。
私がやっていることを共有する。
1. 出社日は火曜と木曜と決めている
「いつでも出社できる」だと、結局どちらにもならない。
火曜と木曜を出社日と決めて、その日は「人と話す日」と割り切っている。ランチに誘ったり、雑談したり。
リモートワークと孤独の記事でも書いたけど、週1-2日の出社が孤独リスクを上げないラインらしい。
2. 在宅の日は18時に仕事を終える
「もう少しだけ」が積み重なると、気づけば20時を過ぎている。
在宅の日は18時に仕事を終える、とルールを決めた。18時になったらPCを閉じる。
子供との夕食、お風呂、寝かしつけ。この時間を守ることが、境界を守ることになる。
3. 夫と家事を分担する
UK研究が示したように、柔軟な働き方を利用するのは女性だけになりがち。
うちは夫もリモートワークが多いので、「私だけが家事をやる」にならないよう意識している。
- 朝の支度: 私
- 保育園の送り: 夫
- 保育園の迎え: 交代
- 夕食の準備: 私
- 子供のお風呂: 夫
完璧ではないけど、「私だけ」にならないようにしている。
4. 月1回は夫婦で振り返る
子供を寝かしつけた後、月に1回は「最近どう?」と話す時間を作っている。
- 仕事のストレスは溜まっていないか
- 家事の分担は偏っていないか
- 子供との時間は取れているか
オーストラリアの研究で「夫婦満足度」が子供のメンタルヘルスに影響すると分かったから、余計に大事だと思うようになった。
柔軟な働き方は「両刃の剣」
論文を読んで感じたのは、柔軟な働き方は**「良いもの」と単純に言えない**ということ。
メリット:
- 女性の心理的苦痛減少
- 生活満足度向上
- 家族のケアに対応しやすい
リスク:
- 女性だけが利用し、男女格差が広がる
- 仕事と家庭の境界が曖昧になる
- 親のストレスが子供に伝わる
大事なのは、メリットを享受しながら、リスクを管理することだと思う。
まとめ
- UK縦断研究で柔軟な働き方が女性の心理的苦痛を減少、生活満足度を向上
- ただし利用するのは女性だけで、男女格差を広げるリスクも
- 親のワークファミリーコンフリクトは子供のメンタルヘルスに影響(66%は親の苦痛・夫婦関係・養育態度で説明)
- 日本人女性で重度の仕事→家庭葛藤があると心理的苦痛リスク約5倍
- テレワークは通勤ストレス軽減・自律性向上のメリットがある一方、境界の曖昧化・孤立のリスク
柔軟な働き方ができるのはありがたい。
でも、「柔軟」に甘えて境界を曖昧にすると、結局は自分も家族も苦しむことになる。
18時にPCを閉じる。夫と分担する。月1回振り返る。
小さなルールを守ることが、家族の健康を守ることにつながると信じている。
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