なつめをおやつに変えてみた、薬膳の「気を補う」食材を2ヶ月続けた感想
3時のチョコを、なつめに変えてみた
午後3時、デスクワークの合間に手が伸びるのはいつもチョコレートだった。
でも薬膳の本を読んでいて、**なつめ(棗/大棗)**のことが気になった。「気を補い、血を養い、精神を安定させる」。薬膳では数千年前から使われている食材。
調べてみると、科学的なエビデンスもちゃんと蓄積されていた。
エビデンスを調べた上で、おやつとして続けられる形にする。 それが私のスタイル。
2ヶ月試してみた感想を、薬膳の視点とエビデンスと一緒にまとめてみました。
まず確認: なつめとデーツは別の食品
これ、意外と知られていないんだけど、なつめとデーツは全く別の植物。
| 項目 | なつめ(棗) | デーツ(ナツメヤシ) |
|---|---|---|
| 学名 | Ziziphus jujuba | Phoenix dactylifera |
| 原産地 | 中国・韓国 | 中東・北アフリカ |
| 薬膳 | 主役(大棗として処方多数) | 薬膳的位置づけは少ない |
| 味 | やさしい甘さ、りんごのような風味 | 濃厚な甘さ、キャラメルのよう |
| カロリー | 約270kcal/100g | 約280kcal/100g |
| 特徴的成分 | サポニン、jujuboside | 食物繊維8g/100g、カリウム豊富 |
日本のスーパーで「デーツ」として売られているのはナツメヤシ(Phoenix dactylifera)で、薬膳で使う「なつめ」とは違うもの。今回は**薬膳のなつめ(Ziziphus jujuba)**の話。
薬膳での「なつめ」の位置づけ
薬膳でのなつめは、いわば「疲れた体と心を立て直す食材」。
- 性味: 甘・温(穏やかに体を温め、消化を助ける)
- 帰経: 脾・胃(消化器系に作用)
- 効能: 補中益気(気を補う)、養血安神(血を養い精神を安定させる)
漢方処方では葛根湯、十全大補湯、酸棗仁湯など、本当に多くの処方に配合されている。つまり、それだけ長い臨床使用の歴史がある。
「気を補う」「血を養う」は、現代の言葉に訳すと**「疲れやすい」「貧血気味」「眠りが浅い」人に向いている食材**ということ。
エビデンスを確認する
薬膳の理論だけで選ぶのは私のスタイルじゃない。PubMedでエビデンスも確認した。
睡眠改善: メタアナリシスで確認済み
なつめの種(酸棗仁/サンソウニン)は、睡眠改善のエビデンスが比較的しっかりしている。
2020年のメタアナリシス(19研究・1780名、Sleep Medicine掲載)では:
- PSQI(ピッツバーグ睡眠質問票)改善: プラセボ比 -0.90(95% CI: -1.56〜-0.24, p = 0.007)
- ベンゾジアゼピン系薬と同等の効果
- 副作用は84%少ない(RR 0.16, p < 0.001)
ただし、研究の質は全体的に低いとも指摘されている。
2015年のRCT(90名、二重盲検)でも:
- PSQI改善: p = 0.007(有意)
- 睡眠効率改善: p = 0.017(有意)
- 副作用は軽度(眠気、下痢、めまい)
私の解釈: メタアナリシスで効果が確認されているのは心強い。ただし研究の質が低いので「確実に効く」とは言えない。でも「害はなさそう」ということは確認できた。
抗酸化・抗炎症・神経保護
2021年のレビュー(J Zhejiang Univ Sci B)によると、なつめには:
- 多糖類: 免疫調節、抗酸化
- ポリフェノール: 抗炎症、抗酸化
- サポニン(jujuboside): 鎮静作用、睡眠改善
- アミノ酸、食物繊維: 基本的な栄養素
抗がん、抗酸化、抗炎症、鎮静、免疫調節、神経保護など、多方面の効果が報告されている。
2022年のレビュー(Curr Top Med Chem)でも、酸棗仁(なつめの種)の神経保護作用が:
- 睡眠改善
- 抗うつ
- 抗不安
- 記憶改善
に寄与すると報告されている。GABAergic系と5-HT系を通じた作用が2025年のレビュー(Foods)でも確認されている。
エビデンスの限界(正直に)
期待を持ちすぎないでほしいことも書いておく。
- ヒト臨床試験は少ない: メタアナリシスも含めて研究の質が低い
- ドライフルーツとしての摂取量 ≠ サプリの用量: 研究は酸棗仁エキスを使用しており、ドライなつめをおやつで食べる量とは異なる
- 因果関係は確立されていない: 「なつめを食べたら眠れる」とは言えない
私のスタンス: エビデンスは「発展途上」。でも、害がないことは確認できた。薬膳の長い歴史もある。おやつとして食べる分には問題ない。
続けやすい食べ方3パターン
パターン1: そのままおやつ(一番簡単)
ドライなつめを3〜5粒、そのまま食べる。
- メリット: 何も準備しない。デスクの引き出しに入れておける
- 味: やさしい甘さで、りんごチップスに近い。チョコほどの満足感はないけど、自然な甘さで十分
- 量の目安: 1日3〜5粒(約20〜30g)。カロリーは50〜80kcalくらい
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パターン2: ヨーグルト + なつめ + はちみつ
朝食やおやつに。
- 刻んだなつめをヨーグルトに混ぜて、はちみつを少しかける
- メリット: おやつ感が増す。なつめだけだと物足りない人向け
- レーズンやナッツと一緒でもおいしい
パターン3: なつめ茶(夜のリラックスタイム)
なつめを2〜3粒お湯に入れて5分。
- メリット: カフェインゼロ。寝る前のリラックスタイムにちょうどいい
- ほんのり甘いお茶になる。生姜スライスを加えると薬膳度アップ
- ハーブティーの代わりに、気分を変えたいときに
- 睡眠改善目的なら、ハーブティーを使った夜のルーティンも参考になる
私の定番
3時のおやつ = ドライなつめ3粒 + 白湯。
これが一番続いている。仕事の合間にポリポリ食べて、白湯を飲む。10秒で終わるし、特別な準備も不要。
2ヶ月続けてみて感じたこと:
- チョコより食べた後のだるさがない(血糖値スパイクが穏やかな感じ)
- 自然な甘さで満足感はある(ただし最初は物足りなかった)
- 夜のなつめ茶はリラックスできる気がする(プラシーボかもしれないけど、それでもいい)
選び方のポイント
1. 「なつめ」と「デーツ」を間違えない
パッケージに「jujube」または「大棗」と書いてあるものを選ぶ。「dates」はデーツ(ナツメヤシ)なので別物。
2. 無添加・砂糖不使用を選ぶ
なつめは自然な甘さがあるので、砂糖漬けは不要。無添加のドライなつめが一番。
3. 保存方法
常温保存OK(直射日光・高温多湿を避ける)。ジッパー付き袋に入れておけば1〜2ヶ月持つ。
なつめのデメリット(正直に)
- カロリーは低くない: 100gあたり約270kcal。食べすぎ注意
- 独特の風味: りんごとプルーンの中間のような味。好みが分かれる
- 入手しやすさ: 普通のスーパーにはあまり置いていない。ネット通販が確実
- エビデンスは発展途上: 「効く」と断言はできない
結城のまとめ
なつめは、薬膳では「気を補い、血を養い、精神を安定させる」食材。メタアナリシスで睡眠改善効果が確認されているけど、研究の質は低め。
でも、害がないことは確認できた。薬膳の数千年の歴史もある。2021年のレビューで抗酸化・抗炎症・神経保護の効果も報告されている。
エビデンスが「完璧」じゃなくても、害がなくて、おいしくて、続けられるなら、それでいいと思う。
3時のチョコをなつめに変える。それだけのこと。でも、小さな習慣の積み重ねが、体を変えていくと信じている。
続けられることが、私にとっては最強のエビデンス。
睡眠を本気で改善したい方は、なつめとクコの実のハーブティーも合わせて読んでみてほしい。
薬膳の四気五味や食材の組み合わせについてもっと知りたい方には、この本がおすすめ。なつめ以外にも、日常の食材の薬膳的な使い方が分かる。
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