カフェイン完全ガイド、用量・タイミング・遺伝子型を効果サイズで整理する
カフェインは、運動サプリの王道だ。
これはもう疑わなくていい。
ただし、
- 何 mg/kg が一番コスパがいいのか
- 何分前に飲むのがいいのか
- CYP1A2(カフェイン代謝酵素)でどこまで差が出るのか
- 常用で効かなくなるのか
- 睡眠コストはどれくらい重いのか
このへんは、まだ雑に語られやすい。
PubMed を並べると、竹内の結論はかなり明快だ。
カフェインは効く。
でも、
誰にでも 6 mg/kg を突っ込めばいいわけではない。
実務では、
- 3 mg/kg 前後
- カプセルなら約1時間前
- 夜は避ける
- CC型(カフェイン代謝が遅い)っぽい人は期待値を下げる
くらいが一番ズレにくい。
先に結論
| 論点 | 数字 | 竹内の評価 |
|---|---|---|
| 筋力 | SMD 0.18 | 小 |
| 筋持久力 | SMD 0.30 | 小〜中 |
| 45秒-8分の高強度持久系 | ES 0.41 | 一番効きやすい |
| 推奨用量 | 3-6 mg/kg | 基準 |
| 実務的ベスト | ~3 mg/kg | まずここから |
| 高用量副作用 | 発現率 8-83% | 副作用が重い |
| タイミング | カプセル ~1時間, ガム 短め | 形態依存 |
| Aアレル サイクリングTT | WMD -0.90 | 得しやすい |
| Cアレル サイクリングTT | WMD -0.08 | ほぼ無効 |
| 睡眠コスト | 総睡眠時間 -34.67分, 入眠潜時 +8.35分 | 明確なマイナス |
要するに、
- 朝〜昼の勝負にはかなり強い
- 夜は回復コストが重い
- 遺伝子で当たり外れはある
ということだ。
総論。カフェインは幅広く効く
2020年のアンブレラレビュー は、この成分の土台として一番使いやすい。
- 11レビュー / 21メタアナリシス
で、結論はかなり明快だ。
カフェインは
- 有酸素持久力
- 筋力
- 筋持久力
- パワー
- ジャンプ
- スピード
に対してエルゴジェニック(パフォーマンス向上)と整理されている。
つまり、
「カフェインが効くかどうか」
は、もう大きな論点ではない。
残る論点は
- どのアウトカムで一番大きいか
- どの用量が実務的か
- 誰が得しやすいか
だ。
数字で見ると、筋力 SMD 0.18、筋持久力 SMD 0.30
2024年のアンブレラメタアナリシス は、筋力系の数字をかなりきれいにしてくれる。
- 筋力:
- SMD = 0.18
- 筋持久力:
- SMD = 0.30
だった。
つまり、
筋力は小さい。
ただし、
筋持久力は一段まし
だ。
ここから見えてくるのは、カフェインが
1RM の魔法薬
というより、
疲労感を遅らせて、レップや粘りを少し伸ばす成分
に近いということだ。
筋トレ民にとっては、この解像度の方が役に立つ。
一番効きやすいのは、45秒-8分の高強度持久系
2017年のメタアナリシス は、ここをかなりはっきり示している。
- クローズドエンド(時間確定型)の高強度持久系
- 45秒-8分
に絞ると、
- ES = 0.41
- 95% CI 0.15 to 0.68
だった。
これは筋力の 0.18 より見栄えが良い。
つまり、カフェインの主戦場は
- 長すぎる Zone 2 だけでもなく
- 純スプリントだけでもなく
「きつい持久系」
だ。
たとえば
- 1500m 走
- 2000m row
- 4-8分の高強度エフォート
みたいなところだ。
ここが、カフェインを入れる意味が一番分かりやすい。
用量。基準は 3-6 mg/kg だが、まずは 3 mg/kg
ISSNポジションスタンド は、用量の基準線として今でも一番実務的だ。
- 一番一貫しているのは
- 3-6 mg/kg
- 最小有効量は
- 2 mg/kg くらいでも効く可能性
- 9 mg/kg は不要
ここに 2022年の副作用レビュー を重ねると、さらに使いやすくなる。
副作用の発現率は
- ≤3.0 mg/kg:
- 6-34%
- 3.1-6.0 mg/kg:
- 0-34%
- ≥6.1 mg/kg:
- 8-83%
だった。
しかも高用量では、
- 頻脈/動悸
- 入眠の悪化
が目立つ。
ここから竹内の結論はシンプルだ。
まずは 3 mg/kg。
70kg なら
- 約210mg
だ。
200mg タブレット1粒でほぼ足りる。
6 mg/kg は効く。
でも、
副作用を増やしてまで毎回そこまで上げる合理性は薄い。
タイミング。カプセルは約1時間前、ガムはもっと短くていい
タイミングも雑に語られがちだ。
2020年のランダム化試験 では、
- 6 mg/kg
- 2時間前
- 1時間前
- 30分前
を比べている。
結果は、
1時間前が一番一貫して良かった。
30分前でも一部の等速性パフォーマンスは改善したが、
2時間前は見劣り
した。
つまり、錠剤やカプセルなら
45-60分前
を基準にしていい。
一方、2024年のカフェインガムのレビュー では、
- 100-300mg
- 2-4 mg/kg
- 速い吸収
で、持久系や反復スプリントへのポジティブなシグナルが出ている。
だから timing は形態依存で考えるべきだ。
- カプセル / 錠剤:
- 約 1時間前
- ガム:
- 10-20分前 でも回りやすい
この違いを無視すると、効かなかった理由を用量のせいにしやすい。
CYP1A2。Aアレルは得しやすく、Cアレルは効きにくい
ここはかなり重要だ。
2024年のメタアナリシス付きシステマティックレビュー では、サイクリングタイムトライアルの改善は
- 全体:
- WMD = -0.48
- Aアレル:
- WMD = -0.90
- Cアレル:
- WMD = -0.08
だった。
つまり、
Aアレルは明確に得しやすい。
一方で、
Cアレルはほぼ無効
だ。
さらに 2025年のシステマティックレビュー でも、
- AA: ポジティブ
- AC: 小さめのポジティブ
- CC: ほぼ無効またはネガティブ
という整理になっている。
これはかなり実務的だ。
カフェインで毎回よく効く人は
- AA か AC 寄り
の可能性が高い。
逆に、
- 効かない
- 動悸ばかり出る
- 睡眠コストだけ重い
人は CC を疑っていい。
以前書いたCYP1A2遺伝子型の記事でも触れたが、ここは「気のせい」ではなく、本当に個体差がある。
ただし、常用で全部消えるわけではない
よくあるのが、
「毎日飲んでるなら、もう効かない」
という話だ。
これは半分だけ正しい。
- low:
- 20 ± 11 mg/day
- moderate:
- 88 ± 33 mg/day
- high:
- 281 ± 167 mg/day
の常用者に 6 mg/kg を入れても、
- CMJ(カウンタームーブメントジャンプ)
- 総レップ数
は改善している。
つまり、
常用していても、運動のエルゴジェニック効果は残る。
ここは大事だ。
一方で、Rogers 2013 を見ると、認知や覚醒度は少し話が変わる。
一晩の断カフェイン後では、
- 眠気の増加
- 覚醒度の低下
- 反応時間の悪化
が起きていて、カフェインはそれを戻している。
つまり認知パフォーマンスでは、
「効いている」の一部が離脱からの回復
の可能性がある。
この違いは分けて考えた方がいい。
- 運動:
- 常用でもまだ効く
- 覚醒感 / 集中感:
- 離脱から戻しているだけの成分も混ざりやすい
睡眠コストはかなり明確
ここを無視すると、カフェインの評価は必ず歪む。
- 総睡眠時間:
- -34.67分
- 睡眠効率:
- -4.74%
- 入眠潜時:
- +8.35分
- 徐波睡眠:
- -1.01%
だった。
つまり、
パフォーマンスの向上と引き換えに、回復を削りやすい。
さらに 2015年の夜間運動試験 では、
- 6 mg/kg
- 夜間の運動
で、
- 入眠潜時の悪化
- 睡眠の質の悪化
が出ている。
この試験では、女性の経口避妊薬使用者の半減期が
- 17.63 ± 8.06 h
とかなり長かった。
もちろんこれは特殊条件だ。
でも言いたいことは単純で、
夜トレとカフェインは相性が悪い。
朝〜昼の勝負で使う成分として見る方が、ずっと筋がいい。
じゃあ、どう使うのが正解か
ここまでをかなり雑にまとめると、こうなる。
一番無難な使い方
- 3 mg/kg
- 45-60分前
- 朝〜昼のセッション
これがまず基準だ。
もっと細かく言うと
- 錠剤 / カプセル:
- 約1時間前
- ガム:
- 短めでOK
- 6 mg/kg:
- 重要な試合でのみ検討
- 夜:
- できれば避ける
こんな人は期待値を下げる
- カフェインで動悸ばかり出る
- 毎回 sleep cost が重い
- 体感がほぼない
このタイプは、CC 寄りか、少なくともカフェインとの相性が悪い可能性がある。
以前書いたカフェイン vs パラキサンチンの記事でも触れたが、夜は別の選択肢を考えた方がいい。
まずは3mg/kg前後から試したい人向け。200mgで量を管理しやすく、朝トレや試合前の基準として使いやすい。
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竹内の結論
カフェインは、
いまだに最強クラスの実用サプリだ。
数字で見ても、
- 筋力 SMD 0.18
- 筋持久力 SMD 0.30
- 高強度持久系 ES 0.41
で、広く効いている。
ただし、雑に使うと損も大きい。
- 3-6 mg/kg は効くが、実務では 3 mg/kg が一番使いやすい
- timing は カプセルなら約1時間前
- CYP1A2 は Aアレル有利、Cアレルは効きにくい
- 常用でも運動のエルゴジェニック効果は残る
- でも 睡眠はかなり削りやすい
だから結論はこうだ。
朝〜昼の勝負なら、カフェインはまだ王道。
でも、
夜にまで引っ張ると、回復コストで元を取り崩しやすい。
