シトルリンマレートは筋トレに効く?血流とrep performanceを検証

シトルリンマレートは筋トレに効く?血流とrep performanceを検証

シトルリンマレートは、プレワークアウト界隈ではかなり人気がある。

  • パンプ感が出る
  • 血流が良くなる
  • rep数が伸びる
  • NOブースターとしてアルギニンより優秀

このあたりの言い方は半分合っていて、半分雑だ。

PubMed ベースで整理すると、結論はこうなる。

血流の signal はある。

でも、

筋トレパフォーマンスの改善は小さく、最大筋力はほぼ動かない。

さらにややこしいのは、

血管拡張のエビデンスは純 L-シトルリンの方が整っていて、筋トレの acute rep performance はシトルリンマレートで見られる

ことだ。

つまり「シトルリンは全部効く」とひとまとめにするとズレる。

先に結論

論点数字竹内の評価
rep performance+3 ± 5 reps, SMD 0.196小さいが有意
最大筋力SMD 0.13ほぼなし
acute FMD+25〜34%血流 signal はある
4週FMD+1.4〜1.6%臨床寄りでも動く
SBPMD -4.10 mmHg血圧は少し下がる
enduranceTTE 0.03 / TTC -0.07ここは弱い

要するに、

  • パンプ感
  • 高回数セットの粘り

には筋がある。

でも、

  • 1RM更新
  • 長い持久系

を期待して入れると、期待しすぎになりやすい。

まず筋トレの数字から見る

2021年の meta-analysis は、シトルリンマレートを筋トレ前に飲むと rep performance がどこまで伸びるかをまとめている。

  • 8 studies
  • 137 participants
  • 6-8g
  • 40-60分前

結果は、

  • +3 ± 5 reps
  • +6.4 ± 7.9%
  • SMD 0.196
  • p = .022

だった。

この数字をどう読むか。

signal はある。

ただし、

effect size は小さい。

つまり、

  • 1セットで別人みたいに伸びる

というより、

  • トータルで少し反復回数が増える

くらいのサイズ感だ。

脚の方が少し効きやすい傾向もある。

  • lower body: SMD 0.27, p = .051
  • upper body: SMD 0.16, p = .131

このへんを見ると、シトルリンマレートは

高回数セットの fatigue resistance を少し押す

サプリと考えるのが一番正確だと思う。

でも最大筋力は、ほぼ動かない

ここは重要だ。

別の meta-analysis は、resistance-trained adults における筋力アウトカムを見ている。

結果は、

  • overall: SMD 0.13(95% CI -0.21, 0.46
  • lower limbs: SMD 0.06
  • upper limbs: SMD 0.17

で、全部有意差なし。

要するに、

シトルリンマレートは 1RM サプリではない。

パンプ感や反復回数が少し伸びることはあっても、PR 更新の主役ではない。

ここを見誤ると、

  • ベンチプレスの重量が増えるはず
  • スクワット 1RM が一気に伸びるはず

みたいな期待になるが、今の数字はそこまで強くない。

血管拡張の signal は、確かにある

一方で、血流側はちゃんと筋がある。

2020年の acute trial は、健康な若年成人 24人CitMal 8g を単回投与して FMD を見ている。

結果は、

  • CitMal で FMD +34%
  • allometric scaling 後でも +25%
  • placebo は -2% に近い

だった。

つまり、

血管拡張の acute signal はある。

これは NO booster という売り文句の根拠としては、それなりに妥当だ。

ただし、ここで一段落ち着く必要がある。

FMD が上がることと、ベンチプレスが伸びることは同じではない。

血流が良くなっても、

  • 出力
  • 技術
  • 疲労耐性
  • 動員

が必ずしも同じだけ伸びるわけではない。

だから「血流が上がる」から「筋トレ成績も大きく上がる」は飛躍がある。

血流・血圧の臨床データは、むしろ純L-シトルリンが強い

ここがシトルリン系で一番ややこしい。

2022年の trial では、hypertensive postmenopausal women に L-シトルリン 10g/日を4週間 入れている。

結果は、

  • FMD: +1.4 ± 2.0% vs placebo -0.5 ± 1.7%
  • aortic diastolic BP: -2 ± 4 mmHg vs placebo +2 ± 5
  • mean arterial pressure: -2 ± 4 mmHg vs placebo +2 ± 6

さらに 2024年の follow-up trial では、

  • FMD: +1.6 ± 0.7%
  • aortic systolic BP: -4 ± 6 mmHg
  • exercise blood flow: +48 ± 16 mL/min vs placebo +17 ± 12
  • muscle oxygenation: +1.61 ± 0.46%

まで出ている。

この流れを見ると、

血管拡張・血流改善の確実性は、純L-シトルリンの方が高い

と考えた方が自然だ。

つまり、

  • 血流の臨床 signal を取りに行くなら L-シトルリン
  • 筋トレ前のパンプ・rep狙いなら CitMal

という切り分けがかなり大事になる。

血圧メタも、L-シトルリンには追い風

2019年の blood pressure meta-analysis では、

  • systolic BP: MD -4.10 mmHg
  • diastolic BP: MD -2.08 mmHg(全体では有意差なし)
  • ただし 6g/日以上 では diastolic BP -2.75 mmHg

だった。

ここまで来ると、シトルリン系で血管側の数字が動くのはかなり納得しやすい。

ただし繰り返すが、これは主に L-シトルリン の話だ。

シトルリンマレートの記事でここを入れる意味は、

「NOブースター」という看板自体は間違いではないが、いちばん綺麗な臨床データは純シトルリン側にある

と示すためだ。

endurance 全般には、あまり効かない

「血流が上がるなら有酸素にも広く効くのでは」と思いがちだが、ここはそう単純じゃない。

2023年の endurance meta-analysis では、

  • TTE: SMD 0.03
  • TTC: SMD -0.07

で、どちらも有意差なし。

つまり、

持久系全般に効くサプリ

という看板は強すぎる。

シトルリンは、

  • 血流
  • パンプ
  • 高回数セットの粘り

では少し効くかもしれない。

でも、

  • 長い endurance
  • レース全般

にそのまま広げるのは危ない。

null 試験も普通にある

シトルリン系は、当たり外れがかなり大きい。

2023年の crossover trial では、CitMal 12g 単独には ergogenic effect がなかった。効いたのは caffeine 側だ。

さらに 2023年の L-シトルリン 8g 試験 でも、

  • reps completed:
    • placebo 36.7 ± 7.2
    • citrulline 36.9 ± 8.1

で差は出ていない。

この辺りを見ると、シトルリン系サプリは

効果があるとしても小さい

から、試験条件で簡単に消える。

だから positive trial だけ並べて「効く」と言うのは危ないし、逆に null trial 1本だけで「全部無意味」と切るのも雑だ。

製品そのものの中身問題もある

2021年の critical review は、シトルリンマレート研究がブレる理由として

  • protocol の違い
  • dose / timing
  • test の再現性

に加えて、

表示されている citrulline:malate ratio の quality control 問題

も挙げている。

ここはかなり実務的だ。

シトルリンマレートは、

  • 8g 飲んだつもりでも
  • 実際のシトルリン量が製品でズレる

可能性がある。

だから、同じ「8g」でも手応えがバラつきやすい。

実務ならどう使うか

竹内ならこう切る。

向いている人

  • 筋トレで セット後半の rep を少し伸ばしたい
  • パンプ感を欲しい
  • プレワークアウトを組むのが好き

優先度が低い人

  • 1RM更新 が最優先
  • endurance 全般に効くと思っている
  • まず caffeine や creatine も未整備

この成分は、

劇的に何かを変えるサプリではなく、細かい上積みを取りに行くサプリ

だと思っておいた方が外しにくい。

シトルリン全般の基本整理は、先に シトルリン成分ページアルギニン成分ページ を見るとつながりやすい。

今の時点で商品として選ぶなら

筋トレ前の文脈なら、CitMal 2:1 の粉末の方が組みやすい。

Swanson, L-シトルリンリンゴ コンプレックスパウダー、180g(6.35オンス)

シトルリンマレート2:1の粉末。研究でよく使われる6-8g前後を作りやすく、パンプ感と高回数セットの上積みを狙う用途に向く。

iherb.com

(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)

ただし、血流や血圧の臨床エビデンスだけを重視するなら、CitMal より 純L-シトルリン の方が筋がいい。

竹内の結論

シトルリンマレートの効果サイズを PubMed で読むと、こうなる。

  1. rep performance は少し伸びる+3回, SMD 0.196
  2. 最大筋力はほぼ動かないSMD 0.13
  3. 血管拡張の signal はある(acute FMD +25〜34%
  4. ただし血流・血圧の臨床データは L-シトルリンの方が強い
  5. endurance 全般に効くサプリではない

最終評価はこれだ。

シトルリンマレートは「パンプと高回数セットの小さな上積み」を狙うサプリ。

NOブースターとしての理屈はあるが、PR更新や持久系全般まで期待を広げると外しやすい。

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竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

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