クレアチンを食事だけで1日3-5g、サプリなしで達成できるか
クレアチンについて、よくある質問がある。
サプリじゃなくて、肉や魚を食べればよくないですか?
これは半分正しくて、半分ズレている。
先に結論を書く。
- 食事だけで3-5gに届くこと自体は理論上可能
- でも、毎日やるには量がかなり重い
- 普通の食生活は、そこまで届いていない
つまり、
不可能ではないが、サプリの3-5g/日を食事だけで再現するのはかなり非現実的
というのが、PubMed を読んだ今の答えだ。
まず大前提。3-5g/日は「普通の食事量」ではない
クレアチンの議論がややこしくなるのは、ここを混同しやすいからだ。
2016年のレビュー は、70kg男性の1日あたりのクレアチン必要量は約2g と整理している。
しかもそのうち、典型的な雑食から来るのは 最大で半分程度 だ。
残りは、体内で合成している。
ここは重要だ。
サプリでよく言う 3-5g/日 は、
- 欠乏を防ぐ最低量
- 普通の食生活で自然に入る量
ではなく、
筋内クレアチンをしっかり満たしにいくサプリメント摂取域
だ。
だから最初から、食事だけで毎日きれいに届かなくても不思議ではない。
平均値で計算すると、3gでもかなり重い
2021年のNHANES解析 は、クレアチンを含む食品の平均値として 3.88 g/kg を使っている。
この数字で単純計算すると、
- 3g/日 に必要な量は 約0.77kg
- 5g/日 に必要な量は 約1.29kg
になる。
これ、かなり重い。
しかもこれは、
- 生に近い含有量ベース
- クレアチンを含む動物性食品だけで計算
した理論値だ。
普段の献立に置き換えると、
毎日 800g 前後の肉や魚を食べて、ようやく 3g に近づく
というイメージになる。
5g なら、もう普通の食卓ではかなり厳しい。
実際の平均摂取量は、0.7g/日くらい
理論値だけ見てもピンとこないかもしれないので、現実の数字も置く。
同じ NHANES解析 では、米国人の平均食事性クレアチン摂取量は 0.70 ± 0.78 g/日 だった。
要するに、
- 普通の食生活: 0.7g/日前後
- サプリで言う維持量: 3-5g/日
で、かなり差がある。
もちろん、米国平均がそのまま日本人に一致するわけではない。
ただ、少なくとも
食事だけでみんな普通に3gくらい入っている
という理解はズレている。
肉の中でも、筋肉はそこそこ、内臓は弱い
どの食品が強いのか。
1997年のHarrisらの研究 は、食肉と内臓のクレアチン濃度を測っている。
結果はかなりわかりやすい。
- 生の鶏肉/牛肉/兎肉: 約 30 mmol/kg
- 牛心臓: 22.5 mmol/kg
- 牛肝臓: 2.3 mmol/kg
これを g に直すと、
- 30 mmol/kg = 約3.93 g/kg
- 22.5 mmol/kg = 約2.95 g/kg
- 2.3 mmol/kg = 約0.30 g/kg
になる。
つまり、クレアチンを稼ぎやすいのは 筋肉食材 で、レバーはかなり弱い。
ここは誤解しやすい。
内臓は栄養豊富だからクレアチンも多いだろう
とは限らない。
加熱すると、さらに不利になる
ここも地味に大事だ。
2004年のMeat Science論文 では、ラム肉の低温長時間加熱により クレアチンが有意に減少し、クレアチニンが4倍増したと報告している。
Harrisらの研究でも、煮沸後にクレアチンの分解が確認されている。
要するに、
生の含有量でギリギリ計算しても、調理後の実食ではさらに目減りする
ということだ。
だから私は、食事だけで 3g に届くかを計算するとき、
理論上 770g でいけるから余裕
とは見ない。
実際にはもっと食べる必要がある と考える方が安全だ。
では、食事だけで達成できる人はどんな人か
ゼロではない。
たとえば、
- 毎日かなり多くの赤身肉や魚を食べる
- 体格が大きく、食事量も多い
- 高タンパク・高動物性食品の食習慣がある
人なら、3g 近くまで寄せる日はあるはずだ。
でも、ここで問題になるのは できる日があるか ではない。
毎日、継続的に、無理なく、3-5gを入れられるか だ。
ここまで条件を付けると、かなり厳しい。
量の問題だけではない。
- 食費
- 調理の手間
- 飽き
- 胃腸負担
- 飽和脂肪や総カロリー
まで乗ってくる。
この時点で、サプリ 5g をコップ1杯で終えるのとは、もう別の話だ。
三島の結論
このテーマは、感情ではなく算数で見た方が早い。
Brosnanのレビュー では、普通の雑食は 1g前後。
NHANES解析 では、平均は 0.70g/日。
一方で、クレアチンを含む食品の平均濃度 3.88 g/kg を使うと、
- 3g/日に 約770g
- 5g/日に 約1.29kg
の動物性食品が必要になる。
さらに 加熱で減る。
だから私の結論はシンプルだ。
クレアチン3-5g/日を食事だけで完全に不可能とは言わない。だが、毎日それをサプリなしで再現するのはかなり厳しい。
もし狙いが 普通の健康維持 なら、食事由来 + 内因性合成で十分回っている人も多い。
でも狙いが サプリの3-5g/日と同じ土俵 なら、話は別だ。
そこは、食事だけで押し切るより、サプリの方が単純に合理的だと思う。
前に書いた NMN vs クレアチン、どちらを優先すべきか? でも触れたが、クレアチンは「効くかどうか」より、どうやって無理なく継続するか の方が実務では重要だ。
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