ブルーゾーンに学ぶ「週1断食」、続けやすいイカリア式プチ断食の始め方

ブルーゾーンに学ぶ「週1断食」、続けやすいイカリア式プチ断食の始め方

「16:8」「18:6」などの時間制限食を試したことがある人は多いと思う。

でも、毎日夕食を抜くのは正直しんどい。家族との食事、友人との会食、仕事の付き合い。夜に食べないルールを毎日守るのは、社会生活と両立しにくい。

そこで提案したいのが「週1断食」という方法。

ブルーゾーンの一つ、ギリシャのイカリア島で実践されている断食習慣にヒントを得た、続けやすい断食スタイル。

イカリア島とギリシャ正教の断食

イカリア島はギリシャにある小さな島で、世界で最も長寿者が多い「ブルーゾーン」の一つ。

住民の多くがギリシャ正教徒で、年間を通じて定期的な断食を実践している。

ギリシャ正教の断食カレンダー

期間日数時期
大斎(Great Lent)48日イースター前
降誕節(Nativity Fast)40日クリスマス前
被昇天祭15日8月
毎週水・金曜日週2日通年

年間約180-200日が断食日になる。

ただし、これは「完全断食」ではない。動物性食品(肉、乳製品、卵)を避け、植物性食品中心の食事をする日。イカリア式は「緩い断食」とも言える。

ギリシャ正教断食のエビデンス

2003年のBMC Public Healthの縦断研究がある。

ギリシャ人120名を1年間追跡し、定期的に断食する人(60名)としない人(60名)を比較した。

1年間追跡の結果

指標断食群 vs 非断食群
総コレステロール12.5%低い (p < 0.001)
LDLコレステロール15.9%低い (p < 0.001)
BMI1.5%低い (p < 0.001)
LDL/HDL比6.5%低い (p < 0.05)

定期的な断食を1年続けた人は、脂質プロファイルとBMIが有意に改善していた。

アトス山修道士の研究

2017年のEuropean Journal of Clinical Nutritionの研究では、アトス山(ギリシャ正教の聖地)の修道士70名を調査している。

彼らは年間180-200日断食を実践している。

結果は驚くほど良好だった:

指標数値
BMI23.8 kg/m²(標準)
総コレステロール183.4 mg/dL
LDL120.6 mg/dL
中性脂肪72.2 mg/dL
HOMA-IR1.02(理想的)

HOMA-IRは1.0前後が理想的で、インスリン抵抗性がほとんどないことを示す。

ただし注意点もある。修道士たちは重度のビタミンD欠乏(8.8 ng/mL、正常は30以上)だった。断食だけでは栄養が偏る可能性がある。

週1断食のRCT(WONDERFUL試験)

2021年のEuropean Heart Journal Openに発表されたWONDERFUL試験は、週1-2回の24時間断食を検証した貴重なRCT。

試験デザイン

  • 対象:103名(21-70歳、LDL軽度上昇、メタボ特徴あり)
  • 断食群:24時間水のみ断食を週2回×4週→週1回×22週
  • コントロール群:通常食

主な結果

指標断食群コントロール群p値
LDL-C変化+0.2 mg/dL+2.5 mg/dL0.59 NS
HOMA-IR変化-0.75-0.100.004
MSS変化-0.34+0.310.006
体重変化-1.7 kg+0.2 kg0.06 NS

LDLコレステロールは下がらなかった。でも、インスリン抵抗性(HOMA-IR)とメタボリックシンドロームスコア(MSS)は有意に改善した。

つまり、週1-2回の断食で代謝は改善する。LDLを下げたいなら、断食以外のアプローチ(食事内容の変更、運動など)が必要。

毎日のTREより週1断食が続けやすい理由

Bryan Johnsonの19時間断食を検証した記事でも書いたが、毎日の時間制限食(TRE)には問題がある。

毎日TREの問題点

  1. 夕食が食べられない:社会生活との両立が困難
  2. 毎日空腹感がある:継続のストレスが大きい
  3. 長期効果は同じBMJのネットワークメタアナリシス(99 RCT、6,582名)によると、24週以上では全IF法の効果差が消失

週1断食のメリット

項目毎日TRE(16:8など)週1断食
空腹感毎日ある週1日だけ
社会生活夕食制限で困難断食日以外は自由
長期効果同等同等
続けやすさ低い高い

「続けられる方法が最強」という私の持論からすると、週1断食の方が現実的。

私の週1断食の始め方

最初から完全な24時間断食は辛い。段階的に始めるのがおすすめ。

ステップ1: イカリア式「緩い断食」から

完全断食ではなく、動物性食品を避ける日を作る。

月曜の食事例

  • 朝:オートミール + ナッツ + ベリー
  • 昼:野菜たっぷりのミネストローネ + 全粒粉パン
  • 夜:豆と野菜のカレー(肉なし)

肉、魚、卵、乳製品を避けるだけ。これなら空腹感も少なく、続けやすい。

ステップ2: 16時間断食に挑戦

緩い断食に慣れたら、断食時間を延ばす。

スケジュール例

  • 日曜20時:最後の食事
  • 月曜12時:断食明けの食事

16時間の断食。これでも十分効果はある。

ステップ3: 24時間断食

慣れてきたら24時間に挑戦。

スケジュール例

  • 日曜19時:最後の食事
  • 月曜:水、お茶、ブラックコーヒーのみ
  • 月曜19時:断食明けの食事(軽めに)

断食日は仕事や予定の少ない日を選ぶ。私は月曜日にしている。

断食中に飲んでいいもの

  • 水(必須)
  • お茶(緑茶、ハーブティー)
  • ブラックコーヒー(砂糖・ミルクなし)
  • 電解質(塩を少量、マグネシウムサプリ)

電解質は空腹感を和らげる効果もある。エプソムソルトをお風呂に入れて、経皮吸収でマグネシウムを補給するのもおすすめ。

注意点

1. ビタミンD不足に注意

アトス山修道士の研究で、定期的断食者はビタミンD欠乏だった。

断食日以外に、意識的にビタミンDを補給する。魚、きのこ、日光浴、サプリなど。

2. 短期断食だけでは効果は一時的

2022年のDiseasesの研究によると、ギリシャ正教の聖週間(1週間)だけ断食した人は、断食終了1週間後には血糖やコレステロールが元に戻っていた。

年1回の断食では意味がない。定期的なリズムが重要。

3. 向いていない人

  • 妊娠中・授乳中の人
  • 摂食障害の既往がある人
  • 血糖コントロールが不安定な糖尿病患者
  • 成長期の子供

これらに該当する場合は、医師に相談してから。

まとめ

続けやすい「週1断食」のポイント:

エビデンス

  • 週1-2回の24時間断食でHOMA-IR有意改善(WONDERFUL試験)
  • ギリシャ正教断食を1年続けた人は総コレステロール12.5%減、LDL 15.9%減
  • 長期では毎日TREと効果は同等(BMJメタアナリシス)

なぜ週1断食が続けやすいか

  • 空腹感は週1日だけ
  • 断食日以外は自由に食べられる
  • 社会生活との両立が可能

始め方

  1. まずイカリア式「緩い断食」(動物性食品抜き)から
  2. 慣れたら16時間断食に挑戦
  3. 最終的に24時間断食へ

イカリア島の人たちが100歳まで元気なのは、「厳格な断食」ではなく「ゆるく続けられる断食習慣」のおかげかもしれない。

完璧を目指すより、続けられることを優先する。それが私のスタイル。

断食日・イカリア式におすすめの食材

緩い断食(植物性食品の日)に使いやすい食材を紹介する。

オートミール

断食明けの朝食に最適。消化に優しく、腹持ちも良い。

大容量でコスパ良し。ナッツとベリーを添えてイカリア式朝食に。

¥1,999 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

ミックスナッツ

断食日の植物性タンパク源として。空腹感を和らげる。

アーモンド・くるみ・カシューナッツのミックス。イカリア式朝食のトッピングに。

¥1,550 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

ひよこ豆

豆と野菜のカレーに。イカリア島でも日常的に食べられている。

イカリア式の緩い断食日に。野菜カレーやミネストローネに。

¥783 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

この記事のライター

結城 優衣の写真

結城 優衣

QOL研究家。エビデンス弱いのは分かった上で、QOL込みで選ぶ。続けられること、気分が上がることも効果のうちという考え。

結城 優衣の他の記事を見る
「何が効くか」ではなく「どのエビデンスをどこまで追うか、何を優先して選ぶか」を議論する、4人の異なる価値観を持つ健康研究メディア

検索

ライター一覧

  • 三島 誠一

    三島 誠一

    論文原理主義者。PubMed、Examine.comを週末に巡回するのが娯楽。メタアナリシス・RCTまで読み、成分フォームと生体利用率を重視する。 おすすめを見る →
  • 桂木 瑛

    桂木 瑛

    エビデンス沼のワーママ。信頼できるインフルエンサー経由の情報を追い、エビデンスあるものを試して体感で続けるか決めるスタイル。 おすすめを見る →
  • 竹内 翔

    竹内 翔

    効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。 おすすめを見る →
  • 結城 優衣

    結城 優衣

    QOL研究家。エビデンス弱いのは分かった上で、QOL込みで選ぶ。続けられること、気分が上がることも効果のうちという考え。 おすすめを見る →

成分ガイド

タグ

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。