HIIT vs 有酸素、心肺機能はどっちが伸びる?数字で比較する
HIT と MICT は、どちらが心肺機能を伸ばすのか。
この議論はずっとある。
- HIIT は時間効率がいい
- MICT は続けやすい
- でも結局、VO2max はどっちが伸びるのか
ここ、雰囲気で語られやすい。
PubMed のメタを並べると、答えはかなり整理できる。
竹内の結論を先に書く。
VO2max 改善は HIIT / HIT が少し勝つ。
でも、
差は「全部ひっくり返る」ほどではない。
しかも指導者付きなら、継続率も思ったほど変わらない。
だから二者択一ではなく、
- 時間がないなら HIT
- 長く続けやすい土台なら MICT
- 理想は両方
という整理が一番現実的だ。
先に結論
| 論点 | 数字 | 竹内の評価 |
|---|---|---|
| HIIT vs 運動なし | 心肺体力 g = 0.77 | かなり伸びる |
| HIIT vs MICT(高齢者) | g = 0.23 | 小さいが HIIT 有利 |
| VO2max 群内改善 | HIIT 0.722 vs MICT 0.490 | 両方伸びる |
| 心臓リハビリ | +1.35 mL/kg/min | 少し HIIT 有利 |
| 心不全 | +1.68 mL/kg/min | 中期までは HIIT 有利 |
| 長時間プログラム | +0.62, 有意差なし | 差が薄まる |
| 指導下の実施率 | HIIT 89.4% vs MICT 92.5% | 実質差なし |
| 自主練の継続率 | HIIT 63% vs MICT 68.2% | 両方中程度 |
要するに、
- HIT は少し強い
- でも MICT でも十分伸びる
ということだ。
まず、HIIT は何もしないよりかなり効く
2024年の高齢者メタアナリシス は、HIIT の基準点としてかなり使いやすい。
- 44 RCTs
- 1863 participants
- 年齢は 60.5-81.2歳
ここで、HIIT vs 運動なし の心肺体力は
- g = 0.77
- 95% CI 0.51 to 1.04
だった。
これは中〜大くらいの効果だ。
つまり、まず大前提として
HIIT はちゃんと効く。
「高齢者には危ないだけで意味が薄い」という読みは違う。
でも、MICT と比べると差は小さい
同じ 2024年のメタアナリシス では、HIIT vs 他の運動の比較もしている。
ここでの心肺体力は
- g = 0.23
- 95% CI 0.07 to 0.38
だった。
つまり、
HIIT は MICT などの他運動より少し有利
ではある。
ただし、この差は
小さい
と読むのが正確だ。
だから、
- HIT 以外は意味がない
とも言えないし、
- どっちでも全く同じ
とも言い切れない。
高齢者の別メタでも「両方効く、でも HIIT やや優勢」
2024年の別メタアナリシス も、この話をかなりきれいに補強している。
- 29 trials
- 1227 subjects
VO2max の群内改善幅は
- HIIT g = 0.722
- MICT g = 0.490
だった。
ここでも、
両方効くが、HIIT の方が少し大きい
という構図は同じだ。
さらに面白いのは、対照試験に限ると
- HIIT g = 1.068
- MICT g = 0.109
- Q = 6.286, p = 0.012
と差が大きくなること。
ここから読めるのは、
条件が整った比較では HIIT 側の優位が見えやすい
ということだ。
心血管リハでも、HIIT は平均で +1.35 mL/kg/min 有利
臨床側でも傾向は近い。
- 22 studies
- 949 participants
をまとめていて、VO2peak の差は
- MD = 1.35 mL/kg/min
だった。
しかも サブグループ では、
-
中間インターバル HIIT:
- MD = 4.02
-
12週超:
- MD = 2.35
-
週3回:
- MD = 1.28
という数字も出ている。
ここで大事なのは、
差はあるが、だいたい 1-2 mL/kg/min レベル
と読むことだ。
臨床的には意味がある。
でも、MICT を全部捨てるほどの圧勝ではない。
心不全では、中期までは HIIT 優位。長期では差が薄まる
2023年の心不全メタアナリシス も面白い。
- 16 studies
- 661 patients
最大酸素摂取量の差は
- WMD 1.68 mL/kg/min
で HIIT 優位だった。
ただし総運動時間で切ると、
-
短期:
- +1.61
-
中期:
- +1.74
-
長期:
- +0.62、有意差なし
となる。
ここはかなり実務的だ。
HIIT の優位は、
短〜中期では出やすい。
でも長くなると、目標強度の維持が崩れて差が薄まる。
つまり、
HIIT の理論値は高いが、長期運用では実行精度が落ちやすい
ということだ。
「HIIT は続かない」は、少なくとも指導下では言いすぎ
HIT/HIIT の弱点として、よく
キツいから続かない
が挙がる。
でも 2023年の実施率・継続率メタアナリシス を見ると、ここも単純ではない。
- 188 studies
- 8928 participants
で、結果はこう。
-
指導下の実施率
- HIIT: 89.4%
- MICT: 92.5%
- 差:
- g = 0.015
- p = .78
-
自主練の継続率
- HIIT: 63%
- MICT: 68.2%
- 差:
- g = -0.313
- p = .096
つまり、
指導下なら、HIIT が特別続かないわけではない。
一方で、家で自分でやる段階になると、HIIT も MICT も落ちる。
だから本当の問題は、
HIIT だから続かない
より、
指導なしの運動習慣は全般に崩れやすい
の方だと思う。
じゃあ、どちらを選ぶべきか
実務はかなり単純になる。
HIT を優先しやすい人
- 有酸素に使える時間が少ない
- VO2max を早く上げたい
- ある程度追い込める
- バイクやランで強度管理しやすい
MICT を優先しやすい人
- まず運動習慣を切らさず続けたい
- 関節負担や疲労を抑えたい
- 筋トレとの両立で高強度日を増やしたくない
この話は、前に書いた Zone 2 vs 4x4 の記事 ともつながる。
竹内ならこう組む
私なら、多くの人にはこう組む。
- MICT / Zone 2 を週2回
- HIT を週1回
- 筋トレや仕事疲労が強い週は、HIT を削って MICT に寄せる
理由は単純で、
- MICT は量を積みやすい
- HIT は VO2max 刺激として少し強い
- 両方あった方が継続と効果のバランスがいい
高強度の日を回すなら、こういう定番は相性がいい。
VO2maxそのものを直接上げる成分ではないが、HITの反復高強度セッションの質を落としにくくする補助としては筋がいい。
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竹内の結論
HIT と MICT を心肺機能の数字で整理すると、
HIT が少し勝つ。
でも、その差はたいてい
- g = 0.23
- +1〜2 mL/kg/min
くらいだ。
だから結論はかなり現実的になる。
最適化なら HIT。
継続の土台なら MICT。
そして本当に強いのは、
どちらか一方を信仰することではなく、両方を回せる設計にすること
だと思う。
