アントシアニンで記憶力は上がる?食事とサプリの差を数字で判定

アントシアニンで記憶力は上がる?食事とサプリの差を数字で判定

アントシアニン。

ブルーベリー、黒すぐり、紫キャベツに入っている紫のポリフェノールだ。

「抗酸化」「脳に良い」「記憶力」みたいな言葉と一緒に売られやすい。

でも、効果サイズで見ると話はかなり地味になる。

今回の中心は、Food Funct 2026の多施設RCT だ。60-85歳の高齢者に、高アントシアニン食または黒すぐり由来サプリを24週間入れて、認知機能を見た。

結論から言う。

食事でもサプリでも、認知機能は対照群を明確に上回らなかった。

既存メタまで広げると、小さいプラスはある。
でも、クレアチンやタンパク質みたいに「まず入れろ」と言える効果サイズではない。

アントシアニン全体の基本は、アントシアニン成分ページにもまとめた。この記事では、認知機能に絞って数字で見る。

先に結論

エビデンス対象指標効果サイズの読み
Food Funct 2026主観的記憶低下の高齢者食事 vs 対照 free recall粗いd ≈ -0.02
Food Funct 2026同上食事 vs 対照 delayed recall粗いd ≈ +0.05
Food Funct 2026同上サプリ vs 対照 free recall粗いd ≈ -0.45、有意差なし
Food Funct 2026同上サプリ vs 対照 delayed recall粗いd ≈ -0.05
Nutr Rev 2023認知機能が正常な中高年processing speedSMD ≈ 0.26
Biogerontology 2025既に認知低下ありepisodic memorySMD 0.34
Mol Nutr Food Res 2022フラボノイド全体global cognitiong 0.148

この表を一言でまとめると、

健康寄りの高齢者に、アントシアニンで記憶力アップは厳しい。認知低下がある人で小さい効果が見えるかもしれない。

これだ。

2026年RCTは何をしたか

PMID 41879044 は、かなり正面からアントシアニンを試している。

項目内容
デザイン多施設、24週間、ランダム化、並行3群
対象60-85歳、自覚的な記憶低下あり
登録110名
完遂94名
平均年齢69.2歳
食事群高アントシアニン食
サプリ群黒すぐり由来フリーズドライ製品、アントシアニン250mg/日
対照placebo / control
主要アウトカムauditory episodic memory

副次アウトカムも広い。

  • その他の認知機能
  • 主観的な記憶の訴え
  • 抑うつ症状
  • 血圧
  • 炎症バイオマーカー
  • 脂質
  • 血管・微小血管内皮機能

つまり、「記憶だけ偶然見ました」ではない。
かなり広く取りに行っている。

結果はシンプルだ。

主要アウトカムでも副次アウトカムでも、treatment × time effectなし。

食事群も、サプリ群も、対照群を上回っていない。

補足表から粗いdを計算すると、食事はほぼゼロ

ここからが竹内パート。

論文の公式Cohen’s dは確認できない。本文はRSCサイトでアクセス制限があり、補足表にある平均・SDから粗く見るしかない。

なので、以下は公式効果サイズではない。
補足表からの粗い近似だ。

まず、FCSRT+IRのfree recall。

baseline24週変化
高アントシアニン食28.7 ± 4.331.8 ± 5.0+3.1
黒すぐりサプリ29.3 ± 5.130.3 ± 5.0+1.0
対照28.3 ± 4.631.5 ± 6.1+3.2

モデル上は、time effectが p<0.001。
でも treatment × time は p=0.192。

全員、時間とともに伸びている。
でもアントシアニン群だけが伸びたわけではない。

食事群と対照群の変化差は -0.1点
ベースラインSDで割ると、粗いdは -0.02

これはゼロと見ていい。

サプリも勝っていない

黒すぐりサプリ群は、むしろfree recallの変化量が小さい。

  • サプリ: +1.0点
  • 対照: +3.2点
  • 差: -2.2点
  • 粗いd: 約 -0.45

ただし、ここを「サプリで悪化」とは言わない。
モデルでは有意差がないからだ。

正確にはこう。

少なくとも、黒すぐり由来250mg/日のサプリが対照より有利だったとは読めない。

delayed recallでも同じ。

baseline24週変化
高アントシアニン食10.7 ± 2.311.8 ± 2.1+1.1
黒すぐりサプリ11.3 ± 2.212.2 ± 2.0+0.9
対照10.8 ± 2.111.8 ± 2.3+1.0

粗いdは、

  • 食事 vs 対照: +0.05
  • サプリ vs 対照: -0.05

これも実質ゼロ。

副次アウトカムも広くnull

このRCTで大事なのは、記憶だけではない。

補足表では、いろいろな副次アウトカムでも treatment × time が出ていない。

指標treatment × time
Trail Making Ap=0.565
Trail Making Bp=0.352
Symbol Digitp=0.384
Spot-the-wordp=0.495
Verbal Fluency Fp=0.233
Verbal Fluency Ap=0.526
Verbal Fluency Sp=0.819
List Sorting Rawp=0.813
GDSp=0.885
MAC-Qp=0.361

炎症、血圧、体組成、血管機能も大きなシグナルなし。

つまり、

記憶はダメだったけど炎症は下がった

みたいな逃げ道も、この試験では弱い。

なぜ既存メタでは少し良く見えるのか

ここで、アントシアニンを完全に切るのは早い。

既存メタを見ると、小さいプラスはある。

Nutr Rev 2023のメタアナリシス は、認知機能が正常な中高年を対象にしたアントシアニン豊富な補給研究をまとめている。

結果は、processing speedだけ有意。

  • 95% CI: 0.08 to 0.44
  • p=0.004
  • 点推定はabstractにないが、中央付近で見るとSMD ≈ 0.26

でも、memory、attention、executive function、psychomotor performanceは有意差なし。

つまり、健康な人では、

記憶力が上がるというより、処理速度に小さいシグナルがある

くらいの読みだ。

認知低下がある人ではSMD 0.3前後

2025年のブルーベリーメタ は、既に認知低下がある高齢者を対象にしている。

ここでは少し数字が良くなる。

指標効果サイズ
episodic memorySMD 0.34
MCI subgroupのlanguage memorySMD 0.30
working memorySMD 0.09
recognition memorySMD 0.14

SMD 0.3は、小さい〜中くらいの手前。
ゼロではない。

ただし、全ドメインで効いているわけではない。
認知低下がある人の一部アウトカムで、ようやく見える程度だ。

ここはかなり重要。

対象者が健康寄りか、既に認知低下があるかで効果サイズが変わる。

健康な人にサプリを足しても、天井効果で動かない。
不足や炎症や認知低下がある人では、少し動く可能性がある。

サプリ全般でよくあるパターンだ。

フラボノイド全体でも、効果は小さい

もう少し広げて、食事性フラボノイド全体を見る。

Mol Nutr Food Res 2022のメタ では、80研究、5519名を解析している。

数字はこう。

カテゴリ効果サイズ
global cognitiong 0.148
berries subgroupg 0.149
cocoag 0.224
ginkgog 0.187

berriesで g 0.149

これはかなり小さい。

悪い数字ではない。
でも、体感で分かるレベルを期待するには小さい。

食事パターンとしては価値がある。
ただし、単体成分で脳が変わる、という効果サイズではない。

食事 vs サプリなら、どちらを選ぶか

今回のRCTだけで言うなら、勝者はいない。

食事群もサプリ群も、対照を上回っていない。

それでも日常に落とすなら、俺は食事を優先する。

理由はシンプル。

  • サプリは今回RCTで優位なし
  • 食品なら食物繊維、ビタミン、カリウム、他ポリフェノールも入る
  • ベリーや紫野菜は食事パターン全体を改善しやすい
  • 認知機能以外の健康習慣につながる

サプリは悪ではない。
でも、アントシアニンを認知機能目的で買う優先度は低い。

もし試すなら、黒すぐり抽出物のような製品は選択肢になる。

Swanson, ブラックカラントエキス、200mg、ベジカプセル30粒

黒すぐり由来ポリフェノールを補いたい人向け。ただし今回のRCTでは認知機能へのサプリ優位は出ていない。食事でベリー類を増やす補助として見るのが現実的。

iherb.com

(Amazonと楽天では、同じ商品が見つからない場合があります)

研究で使われた製品そのものではない。
アントシアニン250mg/日の再現とも言わない。

あくまで「黒すぐり由来ポリフェノールを試すならこの系統」という位置づけだ。

竹内の実用結論

目的別に分ける。

目的アントシアニンの優先度
健康な人の記憶力アップ低い
高齢者の認知機能サプリ低〜中
MCIなど認知低下あり条件付きで中
processing speed小さい期待
食事の質改善あり
抗酸化イメージ目的過大期待注意

俺なら、認知機能目的の優先順位はこうする。

  1. 睡眠
  2. 有酸素運動と筋トレ
  3. 血圧・血糖・脂質の管理
  4. タンパク質と総エネルギー
  5. 地中海食・MIND食
  6. その中のベリー・紫食材
  7. 最後にアントシアニンサプリ

サプリを7番目に置く。
これが効果サイズで見た現実だ。

まとめ

Food Funct 2026の多施設RCTは、アントシアニンにとって都合のいい結果ではなかった。

高アントシアニン食も、黒すぐり由来250mg/日サプリも、24週間で認知機能を対照より明確に改善していない。

補足表から粗く見ると、食事群の記憶アウトカムはdほぼ0。サプリ群も優位なし。

一方で、既存メタではSMD 0.15〜0.34くらいの小さいプラスはある。特に認知低下がある人では、少し見える可能性がある。

だから結論はこれ。

アントシアニンは、脳を変えるサプリではなく、食事の質を上げる紫の選択肢。

ベリーを食べるのはあり。
サプリで記憶力を狙うなら、期待値は低めに置いた方がいい。

この記事のライター

竹内 翔の写真

竹内 翔

効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。

竹内 翔の他の記事を見る
「何が効くか」ではなく「どのエビデンスをどこまで追うか、何を優先して選ぶか」を議論する、4人の異なる価値観を持つ健康研究メディア

検索

ライター一覧

  • 三島 誠一

    三島 誠一

    論文原理主義者。PubMed、Examine.comを週末に巡回するのが娯楽。メタアナリシス・RCTまで読み、成分フォームと生体利用率を重視する。 おすすめを見る →
  • 桂木 瑛

    桂木 瑛

    エビデンス沼のワーママ。信頼できるインフルエンサー経由の情報を追い、エビデンスあるものを試して体感で続けるか決めるスタイル。 おすすめを見る →
  • 竹内 翔

    竹内 翔

    効果サイズ原理主義者。エビデンスあっても効果サイズ小さいなら優先度は下がると考える。プロテイン、クレアチン、EAAがメインだが、効果サイズを基準に幅広く評価。 おすすめを見る →
  • 結城 優衣

    結城 優衣

    QOL研究家。エビデンス弱いのは分かった上で、QOL込みで選ぶ。続けられること、気分が上がることも効果のうちという考え。 おすすめを見る →

成分ガイド

タグ

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。