アピゲニンとNAD+の関係、カモミールが老化にも関わるかもしれない話

アピゲニンとNAD+の関係、カモミールが老化にも関わるかもしれない話

前回、カモミールに含まれるアピゲニンについて書いた。

アピゲニンがGABA-A受容体に作用して、睡眠に良い影響を与える可能性があるという話。でも、調べていくうちに気づいたことがある。

アピゲニンは、睡眠だけじゃなく「老化」にも関係しているかもしれない。

今日は、ちょっと難しい話になるけど、CD38とNAD+について調べたことを書いてみようと思う。

NAD+って何?

まず、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)について。

NAD+は、私たちの細胞の中でエネルギーを作るために必要な補酵素。難しい名前だけど、要するに**細胞が動くための燃料を作る「助っ人」**みたいなもの。

Imai & Guarente(2014)の古典的なレビューによると、NAD+はエネルギー代謝だけでなく、サーチュイン(長寿に関わるタンパク質)の活性化にも関わっている。

そして、ここが重要なポイント。

NAD+レベルは、加齢とともに低下する。

NAD+低下と老化の関係

Nature Reviews Molecular Cell Biologyに掲載された2021年のレビューでは、NAD+低下と老化の関係が詳しく解説されている。

NAD+は以下のような細胞機能に関わっている:

  • 代謝経路
  • DNA修復
  • 細胞老化(senescence)
  • 免疫機能

そして、NAD+レベルの低下は、認知機能低下、がん、代謝疾患、サルコペニア(筋肉量低下)といった老化関連疾患と因果関係があるとされている。

興味深いのは、NAD+レベルを回復させると、これらの疾患を遅らせたり、逆転させたりできる可能性があるという点。

CD38:NAD+を食べる酵素

じゃあ、なぜNAD+は加齢とともに減るのか。

その原因の一つがCD38という酵素。CD38はNAD+を消費(分解)する酵素で、加齢とともに増えることが分かっている。

Mayo Clinicの研究グループ(Chini et al., 2020)がNature Metabolismに発表した論文によると:

  • CD38は白色脂肪組織と肝臓で加齢とともに増加
  • 炎症がCD38を増やし、NAD+を減少させる
  • 老化細胞(senescent cells)がCD38+免疫細胞の蓄積を促進
  • CD38の活性をブロックすると、NAD+レベルが上昇する

つまり、CD38を抑えることができれば、NAD+の低下を防げるかもしれない。

アピゲニンはCD38を阻害する

ここでアピゲニンの話に戻る。

2024年の最新レビュー(Kramer & Johnson)では、アピゲニンがCD38を阻害することで、NAD+レベルを上昇させる可能性が示唆されている。

論文の要点:

  • アピゲニンはCD38を阻害する天然のフラボノイド
  • マウス実験で、アピゲニン投与によりNAD+レベルが上昇
  • 学習・記憶の改善、腫瘍増殖抑制などの効果も報告
  • ショウジョウバエや線虫では、寿命延長の報告も

つまり、カモミールに含まれるアピゲニンは、睡眠だけでなく、老化にも関係している可能性がある。

ヒトでのエビデンスは?

正直に言うと、アピゲニン単体での老化に関するヒト臨床試験は、まだほとんどない。

ただ、同じレビューでは、大規模なコホート調査で、食事からのアピゲニン摂取量と睡眠の質が正の相関を示したという報告が紹介されている。睡眠の質が良いことは、健康寿命にも関係する。

また、カモミール抽出物(アピゲニン含有)を使った臨床研究では、不安軽減、気分改善、疼痛緩和などの効果が報告されている。

NMNサプリという選択肢

NAD+を上げる方法として、最近注目されているのが**NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)**サプリ。

NMNはNAD+の前駆体で、体内でNAD+に変換される。つまり、アピゲニンが「NAD+の分解を抑える」のに対して、NMNは「NAD+の合成を増やす」アプローチ。

2023年のレビュー(Freeberg et al.)によると、NMNやNR(ニコチンアミドリボシド)などのNAD+前駆体サプリは:

  • 安全で忍容性が高い
  • 複数の組織でNAD+レベルを上昇させる
  • ただし、生理学的機能改善の臨床エビデンスはまだ不明確

アピゲニン vs NMN、私の考え

アピゲニンとNMN、どちらが良いのか。

正直に言うと、**現時点ではどちらも「ヒトでの効果を証明するエビデンスは限定的」**というのが正確な評価だと思う。

項目アピゲニンNMN
作用CD38阻害(分解を抑制)NAD+前駆体(合成を促進)
摂取量サプリ50-100mg、カモミールティー3-5mg/杯250-1000mg/日
価格比較的安価高価
他の効果睡眠・抗不安(GABA作用)特になし
ヒトRCT限定的複数あり(安全性確認済み)

私が思うのは、両方のアプローチを取るのが理想かもしれないということ。

でも、価格と続けやすさを考えると、私はまずカモミールティーを続ける。アピゲニンは睡眠にも良いし、もしかしたら老化にも良いかもしれない。一石二鳥の可能性がある。

NMNサプリは、もっとエビデンスが蓄積されてから検討しても遅くないかな。

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私の結論:カモミールを続ける理由がまた増えた

カモミールティーを飲み続けている理由が、また一つ増えた気がする。

睡眠に良い → アピゲニンがGABA受容体に作用

老化にも関係あるかも → アピゲニンがCD38を阻害してNAD+を上げる

もちろん、「老化を防ぐ」なんて大それたことは言えない。ヒトでのエビデンスはまだ発展途上だから。

でも、害がないことは分かっているし、睡眠への効果は体感している。そこに「老化にも良いかもしれない」という可能性が加わった。

調べた上で、可能性に賭ける。それも私の選択の一つ。

NMNサプリが気にならないと言えば嘘になる。でも、今の私には高価だし、まずはカモミールティーという「続けられる習慣」を大切にしたい。

まとめ

カモミールに含まれるアピゲニンは、CD38を阻害してNAD+レベルを上げる可能性がある。

  • NAD+は加齢とともに低下し、老化関連疾患と関係
  • CD38はNAD+を消費する酵素で、加齢・炎症で増加
  • アピゲニンはCD38を阻害する天然のフラボノイド
  • NMNサプリも選択肢だが、価格が高い
  • ヒトでの老化防止エビデンスは両者とも限定的

「カモミールティーを飲んでいる」という習慣に、また新しい意味が加わった。

エビデンスは発展途上。でも、害がないなら可能性に賭けてもいいと思ってる。

参考書籍

NAD+や老化の科学についてもっと知りたい方には、この本がおすすめ。

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