いりこのおやつ化計画、子供に鉄分・カルシウムを食べさせる工夫
子供のカルシウム、足りてる?
「牛乳飲みなさい」
子供の頃、毎日言われた記憶がある。でも、うちの息子は牛乳があまり好きじゃない。
カルシウムって他に何で摂れるんだろう。調べてみたら、**いりこ(煮干し)**が優秀だった。
いりこ10gで1日の1/3をカバー
日本食品標準成分表によると、煮干し100gあたりのカルシウムは2,200mg。鉄は18mg。
おやつ用の小袋1個(約10g)で計算すると:
| 栄養素 | いりこ10g | 子供の1日推奨量 | 充足率 |
|---|---|---|---|
| カルシウム | 220 mg | 600 mg | 37% |
| 鉄 | 1.8 mg | 5.5 mg | 33% |
| タンパク質 | 6.5 g | 30 g | 22% |
たった10gで、1日に必要なカルシウムの約4割、鉄分の約3割を摂れる。
牛乳200mlのカルシウムが約220mgだから、いりこ10gは牛乳コップ1杯分と同等だ。
小魚のカルシウム吸収率は牛乳と同じ
「いりこのカルシウムって、ちゃんと吸収されるの?」
1998年のJ Trace Elem Med Biolに掲載された研究が、この疑問に答えている。
研究デザイン
12人の被験者に、骨ごと食べられる小魚と牛乳を摂取させ、カルシウム吸収率を比較。
結果
| カルシウム源 | 吸収率 |
|---|---|
| 小魚(骨ごと) | 21.8 ± 1.8% |
| 牛乳 | 23.8 ± 1.9% |
有意差なし。小魚のカルシウムは、牛乳と同程度に吸収されることが確認された。
「牛乳が飲めないから代わりにいりこ」は、科学的に正しい選択だった。
小魚は栄養の宝庫
2007年のJ Nutrに掲載されたレビューでは、骨ごと食べられる小魚の栄養価を詳しく分析している。
小魚に含まれる栄養素
| 栄養素 | 特徴 |
|---|---|
| カルシウム | 100gあたり50-500mg(牛乳の約半分〜2倍) |
| 鉄 | ヘム鉄で吸収率が高い |
| 亜鉛 | 免疫機能に重要 |
| ビタミンA | 魚の内臓・眼球に豊富 |
研究者は「骨ごと食べる小魚は、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンAの優れた供給源」と結論づけている。
なぜ「小魚」なのか
大きな魚は骨を取り除いて食べる。でも小魚は骨ごと食べられる。
この「骨ごと」がポイントで、魚の骨にカルシウムが詰まっている。
乾燥小魚50gで子供の栄養がこれだけ摂れる
2015年のPLoS Oneに掲載された研究では、小型の在来魚(small indigenous fish)の栄養価を調べている。
乾燥小魚50g/日の摂取で
| 栄養素 | 1日推奨量に対する割合 |
|---|---|
| 鉄 | 24% |
| カルシウム | 35% |
| 亜鉛 | 有意な量 |
| ビタミンA | 有意な量 |
研究は「生後1000日間」(妊娠から2歳まで)の栄養として小魚の重要性を強調しているが、それ以降の子供にも同様のメリットがある。
子供の骨密度とカルシウム摂取
「子供のうちにカルシウムを摂っておくと、大人になってから骨粗鬆症になりにくい」
これ、本当なのだろうか。
2016年のOsteoporos Intに掲載された米国骨粗鬆症財団のポジションステートメントが、エビデンスをまとめている。
骨量ピークに影響する因子
| 因子 | 影響 | エビデンスグレード |
|---|---|---|
| カルシウム摂取 | 正 | A(強い) |
| ビタミンD | 正 | B(中程度) |
| 身体活動 | 正 | A(強い) |
| タンパク質 | 正 | B(中程度) |
カルシウム摂取は「グレードA」、つまり最も強いエビデンスで骨量ピークに影響する。
骨量のピークは20〜30歳頃。子供の時期にカルシウムを十分摂ることが、生涯の骨の健康を左右する。
いりこのカルシウム吸収を助けるペプチド
2013年のBr J Nutrに掲載された研究では、カタクチイワシの骨から抽出したペプチドを調べている。
研究結果
- イワシの骨に含まれるペプチドがカルシウムの溶解性を高める
- 卵巣摘出ラット(骨粗鬆症モデル)で骨密度低下を抑制
- カルシウム吸収促進効果が確認された
いりこ(カタクチイワシ)の骨には、カルシウムだけでなく、吸収を助けるペプチドも含まれている可能性がある。
鉄分スナックの効果
2022年のMatern Child Nutrに掲載されたメタアナリシスでは、鉄分強化スナックの効果を検証している。
結果
- 鉄分強化スナックでヘモグロビンが0.45〜2.28 g/dL上昇
- 思春期女子の貧血予防に有効
- スナック形式は服薬より継続しやすい
いりこは天然の「鉄分スナック」。サプリメントを飲ませるより、おやつとして食べさせる方が続きやすい。
子供がいりこを食べない3つのハードル
うちの子にいりこを出した時の反応:
- 「硬い」: 小さい子供には噛みにくい
- 「魚くさい」: 独特の匂いが苦手
- 「形がイヤ」: 魚の形がリアルすぎる
この3つのハードルを越えるために、いろいろ工夫してみた。
工夫1:小さくて柔らかいものから始める
しらす干しからスタート
カタクチイワシの稚魚である「しらす干し」なら、柔らかくて食べやすい。
うちでは離乳食の頃からしらすを使っていた。その延長で、少しずつ「大きい魚」に慣らしていった。
食べる煮干し(おやつ用)
市販の「食べる煮干し」は、通常の煮干しより柔らかめに加工されている。出汁用の硬い煮干しとは別物。
工夫2:味付けバリエーション
アーモンド小魚
一番人気はこれ。アーモンドの甘みと香ばしさで、魚臭さがマスキングされる。
5歳の息子は「これおいしい」と言って食べてくれる。
ごま付き
ごまの風味で魚臭さが和らぐ。ごまには追加のカルシウムとマグネシウムも含まれる。
甘辛醤油味
子供向けに甘めの味付けをしたもの。3歳の娘はこれが好き。
工夫3:粉末にして混ぜる
どうしても形が苦手な子には、いりこを粉末にして料理に混ぜる方法がある。
いりこ粉をふりかけに
市販のいりこ粉をご飯にふりかける。または自分でミルサーで粉砕。
味噌汁の出汁ごと飲む
いりこで取った出汁の、いりこをそのまま味噌汁に入れて食べる。
うちではこれをやっている。味噌汁の具として食べてしまえば、「魚を食べている」感覚が薄れる。
おすすめのいりこおやつ
アーモンド小魚(小分けパック)
小分け包装で持ち運びに便利。アーモンドとごま入りで子供も食べやすい味付け。工場直送で鮮度も良好。
¥1,400 (記事作成時の価格です)
rakuten.co.jp
6g×30パックの小分け包装。幼稚園のお弁当や、お出かけのおやつにちょうどいい。
食べるいりこ(無添加)
瀬戸内海産カタクチイワシ使用。保存料無添加で子供にも安心。小さめサイズで食べやすい。チャック付きで保存も便利。
rakuten.co.jp
無添加派にはこちら。味付けなしのシンプルないりこ。噛むほどに旨味が出る。
カリッと小魚くん
カリカリ食感のおやつ煮干し。出汁メーカーのマルトモが作る本格派。DHA・EPA・カルシウム補給に。
rakuten.co.jp
出汁の老舗マルトモが作るおやつ用煮干し。カリカリ食感で子供受けがいい。
我が家のいりこ習慣
導入期(最初の2週間)
最初はアーモンド小魚から始めた。
5歳の息子は「アーモンドおいしい」と言いながら、小魚も一緒に食べていた。気づいたら小魚だけでも食べるようになっていた。
3歳の娘は相変わらず「おさかなイヤ」。でもいりこ粉入りの味噌汁は飲んでくれる。
現在(1ヶ月経過)
- 息子: 週3-4回、アーモンド小魚を食べる
- 娘: いりこ粉入り味噌汁(週5回)
- 私: 息子と一緒にアーモンド小魚
感じた変化
正直、数週間で「骨が強くなった」とは分からない。
でも、おやつの選択肢が増えたことは良かった。スナック菓子やチョコレートの代わりに、たまにはいりこ。罪悪感がない。
息子は「幼稚園のおやつより美味しい」と言っている。たぶんアーモンドのおかげ。
いりこの注意点
塩分
いりこには塩分が含まれる。食べすぎには注意。
1日の目安は10-20g程度。小袋1-2個が適量。
アレルギー
魚アレルギーの子供には与えられない。
また、いりこにはエビやカニが混入していることがある。甲殻類アレルギーがある場合も注意。
年齢
小さないりこでも誤嚥のリスクがある。3歳未満の子供には、しらす干しかいりこ粉から始めるのがおすすめ。
まとめ
- いりこ10gで、1日のカルシウム37%、鉄分33%を補える
- 小魚のカルシウム吸収率は牛乳とほぼ同等(約22%)
- 子供のカルシウム摂取は、生涯の骨健康にグレードAで重要
- 工夫: アーモンド小魚、味付け、粉末化で子供も食べやすく
「牛乳が飲めないから栄養が心配」という親御さん。いりこという選択肢がある。
毎日じゃなくていい。週3-4回のおやつをいりこに替えるだけで、カルシウムと鉄分の摂取量がグッと上がる。
ブルーゾーン式朝食にいりこをトッピングしたり、納豆+キムチと一緒に出したり。組み合わせ次第で、子供の栄養バランスはもっと良くなる。
おやつから始める食育。いりこは昔ながらの知恵を、現代のエビデンスが裏付けてくれた。