玉ねぎの皮茶を作り置き、カレーやスープのベースに回す現実的な使い方
玉ねぎをむくたび、「この皮って本当に全部捨てていいの?」と思っていた
カレーの日、スープの日、ミートソースの日。
玉ねぎって結局かなりの頻度で使う。
そのたびに出る、茶色い皮。
なんとなく
- 栄養がありそう
- もったいない
- でも、どう使えばいいか分からない
で終わっていた。
しかもSNSでは、
- 玉ねぎの皮茶はすごい
- ケルセチンが摂れる
- 血圧にも脂肪にもいいらしい
みたいな話まで流れてくる。
こういうの、私はかなり気になる。
ただ、PubMedで追ってみると、ここはかなり整理が必要だった。
先に結論を言うと、
玉ねぎの皮は捨てるには惜しい。
でも、
家庭の玉ねぎの皮茶は、サプリ代わりの健康ドリンクではない。
だから私は、直飲みの健康茶にするより、カレーやスープのベースに回す使い方がいちばん現実的だと思った。
玉ねぎの皮が注目される理由は、ケルセチンが多いから
玉ねぎの皮が話題になる理由はかなりシンプルで、ケルセチンというポリフェノールが多いから。
ケルセチン自体は、成分ページでも整理しているように、抗酸化や血管機能の文脈でよく取り上げられる成分だ。
実際、PubMedを見ても、玉ねぎ皮由来成分の研究はちゃんとある。
ただし、ここで一気に「じゃあ皮茶で全部いける」と飛ばない方がいい。
ヒト研究はある。でも多くは「玉ねぎ皮抽出物カプセル」
ここ、いちばん大事。
PubMedで目立つのは、主に玉ねぎ皮抽出物の研究だ。
血管機能改善を報告したRCT
2015年のランダム化比較試験は、過体重・肥満の成人72名が対象だ。玉ねぎ皮抽出物由来ケルセチン 100 mg/日を12週間投与し、flow-mediated dilation の改善が報告されている。
血圧で前向きな結果が出た試験もある
別の2015年のクロスオーバー試験では、162 mg/日の quercetin-rich onion skin extract で、高血圧サブグループの24時間収縮期血圧が低下した。
体脂肪率低下を報告した試験もある
2016年の試験では、過体重・肥満者で玉ねぎ皮抽出物が体脂肪率低下に関連したという報告もある。
ここだけ見ると、「玉ねぎの皮はかなり強い」に見える。
でも、そこだけ切り取ると危ない。
うまくいかなかった指標もある
2016年のクロスオーバー試験は、(前)高血圧を伴う過体重〜肥満者が対象だ。玉ねぎ皮抽出物由来ケルセチン 162 mg/日を使っても、leptin、adiponectin、CRP、glucose、insulin には有意差がなかった。
つまり、
玉ねぎ皮由来成分は面白い。
でも、
何にでも一貫して効くとまでは言えない。
ここが、実際のエビデンスに近い。
家庭の皮茶は、このRCTと同じものではない
ここは線を引いておきたい。
ヒトで研究されているのは、
- 用量が決まった抽出物
- ケルセチン量が規格化された介入
が中心。
一方で家庭の玉ねぎの皮茶は、
- どの玉ねぎか
- 何枚入れるか
- どれくらい煮出すか
- どれだけ濃くなるか
が全部ぶれる。
だから、
「ヒトで100 mg/日や162 mg/日でこうだった」
を、
「じゃあ皮茶1鍋で同じ」
とは言えない。
皮茶に期待しすぎないほうが、むしろ続く
ここで私は、少し安心した。
なぜなら、
毎回“効かせる飲み物”にしなくていい と分かったから。
家庭での玉ねぎの皮茶は、
- 皮を無駄にしない
- だしとして回せる
- 少し色と香りが出る
- ポリフェノールを少し拾えるかもしれない
このくらいの位置づけのほうが、ずっと現実的だ。
水で煮出してもゼロではない。でも「サプリ相当」は狙わない
PubMedには、dry onion skin のaqueous extractにフェノール類や quercetin 類が含まれることを示した研究がある。2019年の研究はテキスタイル用途の論文だけど、「水抽出でも何も出ないわけではない」ことの補助にはなる。
ただし、これも家庭の鍋条件そのままではない。
さらに、processed onions のヒト・動物試験では、onion peel powder の方が onion peel extract より plasma quercetin の上がり方が大きいと報告されている。単純に「抽出して飲めば最強」とも言えない。
ここをまとめると、
- 水で煮出せば少しは拾える可能性がある
- でも、抽出量は一定ではない
- 皮茶だけで高用量ケルセチンを狙うものではない
ということ。
スープベース向きなのは、「煮汁に移る」から
ここは料理としてかなり大きい。
2001年の調理研究では、玉ねぎをboilingすると quercetin glycosides は約30%減る。一方、その分はboiling water に移ると報告されている。
つまり、
- 煮て終わりではない
- 煮汁を捨てるとロスしやすい
- 煮汁ごと食べるスープやカレーの方が筋がいい
ということ。
さらに、2021年の研究では、加熱後でも onion phenolic compounds の bioaccessibility は残っていた。「調理したら全部無意味」とは言えない。
私はこの2本を読んで、玉ねぎの皮をわざわざ濃い健康茶として飲むより、煮汁を料理に回す発想の方がずっと自然だと思った。
じゃあ、どう使うのがいちばん回るか
私はここで、玉ねぎの皮茶を飲み物として完飲する路線をやめた。
理由は単純で、たぶん続かないから。
味が強すぎると子供はまず飲まないし、大人でも毎日「健康のために皮茶を飲む」はちょっとしんどい。
でも、
カレーやスープのベースに混ぜる
にすると、急に実装しやすくなる。
向いている料理
- カレー
- ミネストローネ
- コンソメスープ
- チキンスープ
- 煮込みハンバーグ
- ポトフ
このあたり。
「玉ねぎ感」が元からある料理なら、違和感がほとんど出ない。
私ならこう作る
- 玉ねぎの皮を、汚れていない範囲で取っておく
- 使う前にさっと洗う
- 鍋に水800ml-1Lと一緒に入れて10-15分ほど弱めに煮出す
- こして、冷ましてから冷蔵へ
- カレーやスープの水の一部に置き換えて使う
これだけ。
しっかり濃くしたいなら、2-3個分の皮をまとめて煮出せばいい。
皮を貯めておくのが面倒な人は、ティーバッグタイプも選択肢になる。
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長期保存を直接みた PubMed 論文は見当たらなかったので、私はこういうものは数日単位で短く回す方がいいと思っている。
子供のいる家では「飲ませる」より「混ぜる」が正解だった
ここはかなりはっきりしている。
子供相手だと、
- 皮茶そのものを飲ませる
- 効くから飲んで
- 苦くても我慢して
は、まず続かない。
でもスープベースにすると、
- 本人は気づかない
- 作る側も面倒が少ない
- いつものメニューに入れ込める
で、かなりラク。
以前書いた冷凍野菜 vs 生野菜でもそうだったけど、忙しい家庭で勝つのはいつも、理論の完璧さより実装の軽さ。
玉ねぎの皮も同じだった。
逆に、やらない方がいいこと
1. 汚れた皮、カビっぽい皮、焦げた皮を使う
ここは普通にやらない方がいい。
外皮は汚れをかぶりやすいので、きれいな部分だけ使う前提。
「全部もったいないから全部入れる」は雑すぎる。
2. 何日も保存する
作り置きは便利だけど、何日も引っ張ると結局気持ち悪くなる。
玉ねぎ皮茶の保存性を直接みた PubMed 論文は見つからなかったので、私はこの手のものは冷蔵で短めに回す前提にしている。
3. 効果を盛りすぎる
これが一番ありがち。
- 血圧対策になる
- 脂肪が落ちる
- 解毒になる
- 炎症が消える
ここまで行くと、もう家庭料理の話ではなくなる。
ヒト研究はあるけど、それは規格化された玉ねぎ皮抽出物の文脈。
家庭の皮茶ベースは、そこまでの話ではない。
桂木の結論
玉ねぎの皮は、たしかに捨てるには惜しい。
玉ねぎ皮抽出物のヒト試験や血圧で前向きな結果が出た試験、体脂肪率低下を報告した試験はある。
でも同時に、有意差が出なかった指標もあるし、何よりそれは家庭の皮茶そのものではない。
だから私は、
- 皮茶を健康ドリンク扱いしない
- 直飲みより、カレーやスープのベースへ
- きれいな皮だけ使う
- 作り置きしても短いサイクルで使い切る
この運用がいちばんいいと思った。
サプリみたいに効かせようとするより、捨てる部分をだしに回して、家のごはんに静かに組み込む。